◼️「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ/No Time To Die」(2019年・イギリス=アメリカ)
監督=キャリー・ジョージ・フクナガ
主演=ダニエル・クレイグ ラミ・マレック レア・セドゥ アナ・デ・アルマス
ダニエル・クレイグがボンドを演ずる最後の作品。コロナ禍で公開延期に延期を重ね、やっと2021年10月公開。ファーストデーが公開初日、予告編はもう見飽きた。コロナの影響で消化しきれていない休日が残っていて、緊急事態宣言解除となった。これがじっとしていられるかよっ。
ダニエル=ボンドは嫌いではない。ただ僕は基本オールドファンなので、ボンド像とボンド映画には自分の思う型がある。前作「スペクター」は、国際的な犯罪組織とスパイの物語に私怨が過剰にからむ展開に正直冷めたクチだ。だからその続きに期待と不安が半々だった。「ノー・タイム・トゥ・ダイ」でいちばん嬉しかったのは、シリーズ全体への敬意をこれまで以上に保ちつつ、ダニエル=ボンドの最終作らしくこれまでの型をぶっ壊したことだ。それは期待と不安が的中したことでもあるが、長尺を感じさせない極上のエンターテイメントに仕上がっている。
まずはオールドファンのハートに触れる部分から。随所に過去作へのオマージュととれる部分がある。「ドクター・ノオ」の舞台で原作者フレミングも暮らしたジャマイカ、盟友であるCIAのフェリックス・レイター、色とりどりの円が点滅するオープニングや防護服のデザインが「ドクターノオ」ぽいし、あちこちに見られる和のテイストは「007は二度死ぬ」を思わせる。前作から復活したスパイ映画らしいギミック感は今回もボンドカーに満載。そしてマドレーヌとボンドの愛の物語を盛り上げるのは、「女王陛下の007」でトレイシーとの日々を彩ったあの名曲。サッチモの歌声が流れた瞬間は泣くかと思った。シリーズのファンでよかったと感激。
そして007映画の従来の型は今回もぶっ壊される。ダニエル=ボンドのシリーズは登場人物の過去やトラウマを掘り下げる。今回はマドレーヌの過去が事件に関係してくるし、そこに関係する今回の悪役も親を殺された私怨から世界を揺るがす事件を起こすに至る。(見方によっては都合の良い)狭い世間の因縁の絡みは前作同様。そしてクライマックス。スクリーンに向かって叫びそうになる。
まさか、まさか…えーっ!😫
そこには驚きしかない。スパイ映画の結末じゃない。映画館を出ながら満足した一方でちょっとモヤモヤした気持ちが晴れなかった。
でも忘れちゃいけない。確かに型はぶっ壊したけれど、それは偉大なる旧作たちの否定ではないのだ。
悪役サフィンの野望が見えにくい。ボンドと対峙する場面が少ないせいもあるだろう。フクナガ監督は、文学作品「ジェーン・エア」の映画化で、時系列を並べ替えてミステリアスな味付けをやった人。今回はマドレーヌの過去、ボンドが去ってから起こった出来事を少しずつ明らかにして、すれ違いの人間ドラマとして映画を味わい深くすることに成功している。その分悪役の動機は掘り下げきれなかったのかもしれない。
とは言え、エンターテイメントとしての満足度はやっぱり高い。そこはやっぱり007映画だ。「ブレードランナー2049」以来お気に入りのアナ・デ・アルマスが素晴らしい。アクションしづらいセクシーなドレスで二丁拳銃、華麗な蹴り。出番が少ないのがもったいないよ。
ダニエル=ボンドは嫌いではない。ただ僕は基本オールドファンなので、ボンド像とボンド映画には自分の思う型がある。前作「スペクター」は、国際的な犯罪組織とスパイの物語に私怨が過剰にからむ展開に正直冷めたクチだ。だからその続きに期待と不安が半々だった。「ノー・タイム・トゥ・ダイ」でいちばん嬉しかったのは、シリーズ全体への敬意をこれまで以上に保ちつつ、ダニエル=ボンドの最終作らしくこれまでの型をぶっ壊したことだ。それは期待と不安が的中したことでもあるが、長尺を感じさせない極上のエンターテイメントに仕上がっている。
まずはオールドファンのハートに触れる部分から。随所に過去作へのオマージュととれる部分がある。「ドクター・ノオ」の舞台で原作者フレミングも暮らしたジャマイカ、盟友であるCIAのフェリックス・レイター、色とりどりの円が点滅するオープニングや防護服のデザインが「ドクターノオ」ぽいし、あちこちに見られる和のテイストは「007は二度死ぬ」を思わせる。前作から復活したスパイ映画らしいギミック感は今回もボンドカーに満載。そしてマドレーヌとボンドの愛の物語を盛り上げるのは、「女王陛下の007」でトレイシーとの日々を彩ったあの名曲。サッチモの歌声が流れた瞬間は泣くかと思った。シリーズのファンでよかったと感激。
そして007映画の従来の型は今回もぶっ壊される。ダニエル=ボンドのシリーズは登場人物の過去やトラウマを掘り下げる。今回はマドレーヌの過去が事件に関係してくるし、そこに関係する今回の悪役も親を殺された私怨から世界を揺るがす事件を起こすに至る。(見方によっては都合の良い)狭い世間の因縁の絡みは前作同様。そしてクライマックス。スクリーンに向かって叫びそうになる。
まさか、まさか…えーっ!😫
そこには驚きしかない。スパイ映画の結末じゃない。映画館を出ながら満足した一方でちょっとモヤモヤした気持ちが晴れなかった。
でも忘れちゃいけない。確かに型はぶっ壊したけれど、それは偉大なる旧作たちの否定ではないのだ。
悪役サフィンの野望が見えにくい。ボンドと対峙する場面が少ないせいもあるだろう。フクナガ監督は、文学作品「ジェーン・エア」の映画化で、時系列を並べ替えてミステリアスな味付けをやった人。今回はマドレーヌの過去、ボンドが去ってから起こった出来事を少しずつ明らかにして、すれ違いの人間ドラマとして映画を味わい深くすることに成功している。その分悪役の動機は掘り下げきれなかったのかもしれない。
とは言え、エンターテイメントとしての満足度はやっぱり高い。そこはやっぱり007映画だ。「ブレードランナー2049」以来お気に入りのアナ・デ・アルマスが素晴らしい。アクションしづらいセクシーなドレスで二丁拳銃、華麗な蹴り。出番が少ないのがもったいないよ。