Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

マーメイド・イン・パリ

2021-12-01 | 映画(ま行)





◼️「マーメイド・イン・パリ/Une sirene a Paris」(2020年・フランス)

監督=マチアス・マルジウ
主演=ニコラ・デュヴォシェル マリリン・リマ ロッシ・デ・パルマ ロマーヌ・ボーランジェ

僕ら世代は、人魚と恋に落ちる男性のお話というと間違いなく、トム・ハンクスとダリル・ハンナのイメージが脳内のどこからか呼び出される。「スプラッシュ」大好きだったな。

さて本題。
純粋にファンタジーだった「スプラッシュ」と比べると、「マーメイド・イン・パリ」には陰がある。そもそもギリシャ神話のセイレーンに由来する人魚は、人を惑わし、船員たちを海に引きずり込み、人を喰らう存在。本作のヒロイン人魚ルラもまさにそれで、自分の歌声を聴いた人間の男たちは恋をして心臓が破裂して死ぬと言う。映画冒頭からセーヌ川河畔に近づいた男たちが次々と姿を消していく。新聞沙汰になって、社会不安をも引き起こす。甲殻類をバリバリ食い荒らすダリル・ハンナとは違うのだ。

「マーメイド・イン・パリ」が面白いのは、ラブストーリーなのだが、主人公ガスパールは人魚との恋になかなか走らない。彼は過去の恋愛で打ちひしがれているから、ハートはとっくにブレイクしちゃってる(80年代の片岡義男みたいなフレーズだな💧)。だから人魚の歌声を聴いても効果がないのだ。それに驚くルラだが、次第にガスパールの優しさに心を許していくし、ルラとの出会いでガスパールも恋する心を取り戻していく。しかしルラは二日間しか海を離れては生きられない。

そして人魚ルラ歌を聴いたばっかりに死んでしまった医師には、女医の恋人ミレナがいた。死の理由に近づいた彼女がジワジワとルラとガスパールに近づいていくのも、この映画にハラハラするポイント。二人の恋の行方と追跡劇が並行する構成が面白い。

個人的にちょっとこの映画に気持ちが乗らないのが、タイムリミットが迫っているにも関わらず、ルラをなかなか海に戻さないガスパールのじれったさ。ミュージカルめいた歌なんぞ聴かせてる場合じゃないやろ。しかし、アニメーションのオープニングから本編に導く演出や、ガスパールが引き継いだ店の記録である飛び出す絵本、幻想的な水族館シーンなどファンタジックな仕掛けが魅力的で全体的には好印象。二人で録音ブースに入って、二人の歌を吹き込む場面が好き。

大好きなフランス女優の一人、ロマーヌ・ボーランジェが女医ミレナを演じる。若い頃と違ってちょっと貫禄もついているけれど、相変わらずお美しい。




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