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キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

アバター:ジェームズ・キャメロン 3Dリマスター

2022-10-03 | 映画(あ行)


◼️「アバター:ジェームズ・キャメロン 3Dリマスター/Avatar」(2022年・アメリカ)

監督=ジェームズ・キャメロン
主演=サム・ワーシントン ゾーイ・サルダナ シガニー・ウィーバー スティーブン・ラング

「アバター」の世界的なヒットや世間の好意的な評は聞いていたけれど、なんかそそられずに敬遠してきた。ジェームズ・キャメロン作品はそれなりに好きだ。「ターミネーター」に代表される独創的なSF作品、「ランボー2」の脚本以来貫かれる"強い女"のカッコよさ、日本アニメに影響を受けたと聞く描写の数々。そして新作の度に新たな技術を開発して、映画撮影の進歩に貢献してきた人だ。僕は「タイタニック」本編よりメイキングで感激した人である💧。

「アバター」ではCGを駆使して、実写ではなし得ない世界を構築した。世界観という言葉がこれ程似合う映画もないだろう。

特撮の発達と共に映画を楽しんできた世代だから、その偉業はよーくわかる。でも2000年代になって、アクションシーンもCGが俳優に取って代わるようになってから、次第に冷めてきた。役者いらんやん。そしてついにキャメロンまでもが、CGに演技をさせるような映画を撮りやがった。なんてこった。あれ程俳優の活躍を技術で支える作品を撮ってきた人が。「アバター」は確かに映像革命かもしれないけど、俳優の活躍を見たい僕ら映画ファンの望みとは違うんじゃないか。…という明確な信念をもって、公開当時「アバター」をスルーした。初公開から13年。3Dリマスター版が続編に先駆けて公開され、やっと重い腰を上げた。観てみないとね。

公開当時、映画館にはリピーターが押しかけた。公開終了で、「もうあの世界をシアターで体験することができない」「現実世界に帰りたくない」と落胆する"アバター鬱"なる声が巷に溢れた。なるほど、その気持ちは分からんでもない。パンドラとそこに住む人々。創り込まれた世界と美しい映像は他では観られないし、劇場で観るからこそ"体験"できるものだ。

テレビ地上波で放送されても視聴率はそこそこだったが、2013年の放送では裏番組のNHKスペシャル「ダイオウイカ」に完敗したのも強烈に覚えている。映画館では冒頭の宇宙船シーンから3Dの奥行きある映像に引き込まれるし、ジャングルの中を進むシーンでは生い茂る草木に手が届きそうだ。クライマックスの空中戦の臨場感、ナヴィたちが住む村の風景。一度味わったら2Dには戻れまい。テレビでは"映像体験"にはならないだろう。

でも、僕は再びこの映画の世界に戻りたい、とまでは思えなかった。下半身の不自由な主人公がアバターで活躍する姿や、「エイリアン2」でキャメロン映画の"強い女"の代表となったシガニー・ウィーバーの好助演、人間側のドラマも確かに面白いけれど、エンドクレジットを迎えて強く心に残ったのは、人類の欲望の深さと愚かさ。その後味の悪さから、ハッピーエンドなのにどこか虚しさが残った。

クライマックスの激闘は見応え十分だけど、結局この展開が売りだったら今までのハリウッド製ドンパチ映画と何が違うの。映像の凄さは認めるし、本編の最後に流れた続編の美しさも凄いと思う。続編が自然との共生めいたテーマになるのなら、胸に響くメッセージを突きつけて欲しい。

あのラストは、絶対「Ghost In The Shell 攻殻機動隊」の素子と人形使いのシーンが元ネタだろう。やりたかったんだろな、キャメロンw



コメント (2)
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