◼️「テルマエ・ロマエ」(2012年・日本)
監督=武内英樹
主演=阿部寛 上戸彩 市村正親 北村一輝
ヤマザキマリの原作が大好きだ。それを実写映画化というだけでも驚きなのに、まさか日本人(の濃い顔)でキャスティングする驚き。どうせ話題性だけでしょ、と公開当時は完全にスルーしていた。映画はヒットを記録したが、どうせテレビ局資本の映画でしょ、とまだまだ見向きもしなかった。ところが、海外特にイタリアでの反応が素晴らしいと聞き、フェリーニも愛したチネチッタスタジオで撮影が行われたとの情報もやっと耳に入ってきた。観てもいいかな(何様?w)
タナダユキ監督が「マイ・ブロークン・マリコ」のインタビューで、「マンガ原作は怖い。画があることでカットも影響される。役者にもプレッシャーがある。でも映画化は原作を変えるのではなく、それを活かせばいいという考えになりました」と話している。なるほど。
そう考えると実写版「テルマエ・ロマエ」は実にバランスがいい。前半は原作のエピソードを間髪入れずに繰り出してくる。あー、確かに実写化すればこうなるよな。テンポもいいし、面白い。原作で笑わせてくれた印象深い場面も再現度高いし、チネチッタに設けられた古代ローマのセット撮影の説得力に、スタッフの本気が見える。観客の心を掴んで離さない仕掛けが次々に繰り出される。でもここまでがファンサービス。
映画オリジナルのエピソードとなる後半は、歴史改変の阻止とルシウスの技師としてのプライド、そこに温泉文化の誇りが詰め込まれ、複数要素のハラハラで最後まで飽きさせない。劇場版らしいスケールの大きさが楽しませてくれる。原作へのリスペクトとエンターテイメントとしての仰々しさ。この作風を武内監督は「翔んで埼玉」でさらに昇華させたんだと再認識。これがタナダユキ監督が言う"原作を活かす"なんだろう。
原作のよさあっての映画ではある。でも実写化したからこそ表現できたのは、水の質感と湯に浸かる心地よさなのではなかろうか。湯気の向こうにいる人たちの気持ちよさそうな緩んだ表情が、世知辛い日々でしかめてしまった僕らの表情も気持ちも緩ませてくれる。そして実際に湯に浸かってさらにホッとしたいと思わせてくれるのだ。
タナダユキ監督が「マイ・ブロークン・マリコ」のインタビューで、「マンガ原作は怖い。画があることでカットも影響される。役者にもプレッシャーがある。でも映画化は原作を変えるのではなく、それを活かせばいいという考えになりました」と話している。なるほど。
そう考えると実写版「テルマエ・ロマエ」は実にバランスがいい。前半は原作のエピソードを間髪入れずに繰り出してくる。あー、確かに実写化すればこうなるよな。テンポもいいし、面白い。原作で笑わせてくれた印象深い場面も再現度高いし、チネチッタに設けられた古代ローマのセット撮影の説得力に、スタッフの本気が見える。観客の心を掴んで離さない仕掛けが次々に繰り出される。でもここまでがファンサービス。
映画オリジナルのエピソードとなる後半は、歴史改変の阻止とルシウスの技師としてのプライド、そこに温泉文化の誇りが詰め込まれ、複数要素のハラハラで最後まで飽きさせない。劇場版らしいスケールの大きさが楽しませてくれる。原作へのリスペクトとエンターテイメントとしての仰々しさ。この作風を武内監督は「翔んで埼玉」でさらに昇華させたんだと再認識。これがタナダユキ監督が言う"原作を活かす"なんだろう。
原作のよさあっての映画ではある。でも実写化したからこそ表現できたのは、水の質感と湯に浸かる心地よさなのではなかろうか。湯気の向こうにいる人たちの気持ちよさそうな緩んだ表情が、世知辛い日々でしかめてしまった僕らの表情も気持ちも緩ませてくれる。そして実際に湯に浸かってさらにホッとしたいと思わせてくれるのだ。