Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

アムステルダム

2022-11-01 | 映画(あ行)

◼️「アムステルダム/Amsterdam」(2022年・アメリカ)

監督=デビッド・O・ラッセル
主演=クリスチャン・ベール マーゴット・ロビー ジョン・デヴィッド・ワシントン

ラッセル監督作はなんか中途半端なイメージがある。シリアスに受け止めていいのか、それともクスッと笑わせたいのか、何が見せたいのか見えてこない(個人の感想です)。じれったい思いをしている間に終わってしまった「アメリカン・ハッスル」にしても、唐突なハッピーエンドに怒りを覚えた長い邦題のヤツ(大嫌い)にしてもそう。久々の監督作である本作、予告編を見た限りではちょっと明るいノリで楽しめそうかなと思ったら、これがまたどっちにも振り切れてない、やっぱり中途半端な仕上がり。キャストが豪華なだけにちょっと期待したんだけどなぁ。

1930年代の史実を基にしたストーリー。主人公バートとハロルド二人が戦地で出会うパート、病院でバレリーと出会い、アムステルダムで絆を深めていく前半はテンポも良く、それぞれのキャラクターが際立っていてなかなか楽しい。自由な気風のアムステルダムは3人にとっての大事な場所で思い出の地となる。アメリカに戻ったバートとハロルドは、軍隊時代の上官の死をめぐって事件に巻き込まれ、殺人犯と疑われることに。謎を追っていく中でバレリーと再会した2人。3人が巻き込まれた事件の裏には大きな陰謀があった。

それなりに緊迫感はあるのだけれど、ことの重大さを観客が認識するのは、後半ロバート・デ・ニーロが出てきてから。そこまでは取っ替え引っ替え知った顔のキャストが登場して、話があっち行きこっち行きで整理がつかないまま迎えるクライマックス。

それにアムステルダムへの3人の思い入れが最後の最後までピンとこなかった。人種偏見や差別、その後のヨーロッパで起こったユダヤ人の迫害などを思うと、自由な気風がある場所が失われつつある生きにくい時代がやって来ることを伝えたかったんだろう。3人が、いや世界の人々が生きやすい世界はまだ遠い…と考える。でもエンドクレジットを眺めながらそこまで考えないと、彼らにとってのアムステルダムが自由の象徴めいた存在である単なる郷愁めいたものとは違うと感じられない伝わりにくさが、なんか歯がゆい。クリスチャン・ベールの役作りの凄さがあるだけに、なんか歯がゆい。

ラッセル監督作とはどうも相性がよくない気がする。それでも「アメリカン・ハッスル」が楽しかったのは、きっと音楽の力だったのかも。豪華な顔ぶれを楽しみたいなら「アムステルダム」は楽しいかも。でもそれって顔見世興行ってことでしょ。昔のハリウッド映画にあったスターの輝きとは違う。

(ついでに言わせて)
あと、どっかに買収されFOXの文字がなくってから、映画会社の公式サイトも作品の扱いがものすごく雑。鑑賞の手引きになるような情報もなく、作品の魅力がまったく伝わらない。これだけのキャストを集めた映画なのに、公式がテキストで名前並べるだけなんてやる気がないにも程がある。作品への愛がないんよ。


コメント
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