◾️「愛の記念に/A Nos Amonurs」(1983年・フランス)
監督=モーリス・ピアラ
主演=サンドリーヌ・ボネール モーリス・ピアラ ドミニク・ベスネアール
フレンチロリータに弱い私だが、何故かサンドリーヌ・ボネールはどうも苦手としている。「冬の旅」も「刑事物語」も観たし(後者はソフィー・マルソー目当て)、「仕立て屋の恋」や「僕と一緒に幾日か」はかなり好きな映画。だけど、主演作を立て続けに観たいとまでは思えなかった。最初に観た「冬の旅」がいけなかったのかな。働きたくない!楽して生きたい!と言った挙句に凍死する主人公に共感できなかったし。代表作である本作「愛の記念に」は、今回が初鑑賞。
登場人物の誰にも共感しづらい。革細工職人の父と精神不安定な母。ヒロインのシュザンヌは毎夜遊び歩いて、男性とも奔放に関係を結ぶ。昨夜の男失敗だったよなー、みたいなことを女友達に話す場面はあるけれど、単なる遊びではなく、誰が自分にちゃんと向き合って愛してくれるかを、試しまくっているような印象を受けた。そんな彼女を家族も疎ましく思っている。
多くの人も感想で述べている、父親との会話の場面は心に残る。それまで態度がなってないと顔を叩くような父親だが、やっとちゃんと向き合ってくれたとも言えるのか。ヒロインが幼い頃には二つあったえくぼが今は一つ。それを父は「お前は片方でもやっていけるさ」と言う。片方でもかわいいぞ、と言ったつもりだろう。でもその後、父は言い争いが絶えない母の元を去っていく。片方でもやっていけるさ。そういう意味だったのかも。
そこから先は男に身を任せる彼女と、家族の罵り合い。本気でバシバシ叩く場面が長いから、観ていてこっちまで不安になる。結婚を決めた彼女の元に身内が集まる場面は、芸術論を交えたフランス映画らしい会話劇が続く。この場面、ヒロインの兄貴が妙に妹にベタベタ。少し前まで殴りかかっていたくせに、その行動の変化がちょっと理解しがたかった。父が出ていってから、厳格な父親役を兄が演じていたとはいえ、そのベタベタは何?。
娘が旅立つラストシーン。父親が「お前は愛されたいばっかりで、人を愛することをしない」と言う。誰もがそうだと言う娘に、「愛を与える人はいる。選ばれし少数派だけどな」と諭す父の姿。劇中とエンディングで流れるクラウス・ノミのCold Songと共に心に残った。
登場人物の誰にも共感しづらい。革細工職人の父と精神不安定な母。ヒロインのシュザンヌは毎夜遊び歩いて、男性とも奔放に関係を結ぶ。昨夜の男失敗だったよなー、みたいなことを女友達に話す場面はあるけれど、単なる遊びではなく、誰が自分にちゃんと向き合って愛してくれるかを、試しまくっているような印象を受けた。そんな彼女を家族も疎ましく思っている。
多くの人も感想で述べている、父親との会話の場面は心に残る。それまで態度がなってないと顔を叩くような父親だが、やっとちゃんと向き合ってくれたとも言えるのか。ヒロインが幼い頃には二つあったえくぼが今は一つ。それを父は「お前は片方でもやっていけるさ」と言う。片方でもかわいいぞ、と言ったつもりだろう。でもその後、父は言い争いが絶えない母の元を去っていく。片方でもやっていけるさ。そういう意味だったのかも。
そこから先は男に身を任せる彼女と、家族の罵り合い。本気でバシバシ叩く場面が長いから、観ていてこっちまで不安になる。結婚を決めた彼女の元に身内が集まる場面は、芸術論を交えたフランス映画らしい会話劇が続く。この場面、ヒロインの兄貴が妙に妹にベタベタ。少し前まで殴りかかっていたくせに、その行動の変化がちょっと理解しがたかった。父が出ていってから、厳格な父親役を兄が演じていたとはいえ、そのベタベタは何?。
娘が旅立つラストシーン。父親が「お前は愛されたいばっかりで、人を愛することをしない」と言う。誰もがそうだと言う娘に、「愛を与える人はいる。選ばれし少数派だけどな」と諭す父の姿。劇中とエンディングで流れるクラウス・ノミのCold Songと共に心に残った。