世間で評判がいいから気になっていた。2021年にBS11で再放送された録画で13話完走。
参りました。これは傑作。前半は今の自分を変えたい!という青春もの、日常もの的な彼女たちの自然さ、そして南極観測隊のお仕事ものとしても楽しんでいた。それが後半。露わになっていく、それぞれが抱え込んでいた感情や積年の思いの爆発に、こっちまで感情が揺さぶられる。
「ざまぁみろ!」を連呼する南極到着の回。今までバカにされ続けていた報瀬の気持ちであるのだけれど、藤堂隊長のひと声で全員が叫んだのに感激。無理だと言われ続けた民間観測隊の世間への気持ちが、そのひと言で爆発する。第1話のオープニングで砂遊びで溜まった水が流れ出す場面があるけれど、「ざまぁみろ!」はまさに溜まり溜まった感情。
さすがマッドハウスと思える作画、映像表現は見事だし、声優陣がオーバーアクトにならないギリギリのところで、登場人物の昂りや気持ちの揺らぎを吹き込んでくれている。最終回は彼女たちの確かな成長が刻み込まれている。
ラスト2、3話は涙がにじむ。日向の過去に触れる回は気持ちのこもった台詞と演技でしっかり人物を見せる。それに続くクライマックスの報瀬と母のエピソード。台詞も確かにいいのだけれど、パソコンやスマートフォンの画面を無言で見せるだけで、こんなにじわーっと感情に訴えかけてくるなんて。
友達のあり方。これまでの自分を振り返させてもくれた。等身大のキャラクターばかりなのに、南極大陸という壮大な舞台の物語。一見アンバランスな題材なのに、ここまで感動的な話になるなんて誤算だった。
南極観測隊の仕事や意義、南極の様子を知る上でも意義あるアニメ。2024年1月からEテレで再放送が始まったのは、いいセレクトだと思うのだ。多くの人に見て欲しい。初回を見直したら、広島に向かう新幹線の中で、報瀬の携帯の画面がチラッと映る。メールの件名は12話に登場するお母さん宛のものじゃないか😳。嬉しかった日常を綴って送っていたんだな、と理解できてまた涙しそうになったよ。