◾️「フェリックスとローラ/Felix Et Lola」(2000年・フランス)
監督=パトリス・ルコント
主演=シャルロット・ゲンスブール フィリップ・トレトン アラン・バシュング
移動遊園地で働くフェリックス。ある日、悲しげな表情をした女性ローラがやって来る。気になった彼は彼女に声をかけ、ここで働かないかと持ちかける。意外にも彼女はその申し出を受け入れてくれ、少しずつ二人の距離は近づいていく。ローラは突然いなくなったり、戻ってきたと思ったら遊園地を訪れる中年男性を嫌がって泣いていたり。素性がわからないローラをひたすら信じるフェリックス。そんなフェリックスにローラは尋ねた。
「愛のためなら死ねる?」
男から女への一方的な思いが描かれることは、他のパトリス・ルコント作品にも通ずる一面。本作が特殊なのは、女の素性がほぼわからないことだ。悲しげな顔をする彼女に尋ねられなかったのか、単にお人好しなのか、訳ありな人間と接してきたからなのか。シャルロット・ゲンスブール演ずるローラは、映画前半はとてもミステリアスな女性に映る。こんな濃いアイメイクのシャルロットは他の映画では見たことない。
夜の遊園地に再び現れて、バンパーカーに座って煙草を吸う場面は、逆光の月明かりに煙が揺れていて美しい絵になっている。
「もう閉まっちゃったの?乗りたいのに。」
とか心配かけといてふざけたことを言うローラ、応じるフェリックス。
オーティス・レディングのI've Been Lovin' You(愛しすぎて)を流しながら踊る二人。それを見守る仲間たち。うわっ、この場面好き♡
ローラの表情から気持ちが読み取れないもどかしさが、映画を通じたポイントになっている。ルコント先生が上手いのはシャルロットの横顔を狙ったショットを多用していることだ。表情真っ正面から映さない。だからフェリックスだけでなく、観ている僕らも彼女が何を考えてるのか惑わされてしまう。
そもそもシャルロットって、独特な横顔のラインが魅力的。「なまいきシャルロット」の頃に発売された写真集を持っているのだが(フレンチロリータに弱くてすみません💦)、その中でも目立つのはやっぱり横顔の写真。ルコント監督もその横顔の魅力を、うまく引き出している。さすがだ。
証明写真のボックスに入るローラに、フェリックスが表情で気持ちを教えて、と頼む印象的な場面がある。機械から出てきた写真は後ろ向き。ローラの何かを隠したい気持ち、決めきれない気持ちを表すと同時に、それを見て揺れ動くフェリックスの気持ちまで無言で示す。
(以下、結末に触れています)
そして映画の最後、ローラは虚言症であることをフェリックスに告げる。そのために振り回されて、殺人まで考えたフェリックス。結果はさておき、彼はローラの弱さと寂しさを受け止める。
前半のミステリアスな描写から一転。なーんだ、普通の女の子だったんじゃねーか。ちょっと肩透かしを喰らったような、予想と違う映画の結末かもしれない。でも、悲しそうにしていたら優しくしてもらえるかもしれない、嘘を並べることで誰かが構ってくれるかもしれない、という気持ちは誰もが思う弱さでもある。同情を買いたいわけじゃないけど、誰かに振り向いて欲しい。ラストに本当の自分について語り始めたローラと、それをうなづいて聞くフェリックスに、不思議な安堵感を感じた。
「愛のためなら死ねる?」
男から女への一方的な思いが描かれることは、他のパトリス・ルコント作品にも通ずる一面。本作が特殊なのは、女の素性がほぼわからないことだ。悲しげな顔をする彼女に尋ねられなかったのか、単にお人好しなのか、訳ありな人間と接してきたからなのか。シャルロット・ゲンスブール演ずるローラは、映画前半はとてもミステリアスな女性に映る。こんな濃いアイメイクのシャルロットは他の映画では見たことない。
夜の遊園地に再び現れて、バンパーカーに座って煙草を吸う場面は、逆光の月明かりに煙が揺れていて美しい絵になっている。
「もう閉まっちゃったの?乗りたいのに。」
とか心配かけといてふざけたことを言うローラ、応じるフェリックス。
オーティス・レディングのI've Been Lovin' You(愛しすぎて)を流しながら踊る二人。それを見守る仲間たち。うわっ、この場面好き♡
ローラの表情から気持ちが読み取れないもどかしさが、映画を通じたポイントになっている。ルコント先生が上手いのはシャルロットの横顔を狙ったショットを多用していることだ。表情真っ正面から映さない。だからフェリックスだけでなく、観ている僕らも彼女が何を考えてるのか惑わされてしまう。
そもそもシャルロットって、独特な横顔のラインが魅力的。「なまいきシャルロット」の頃に発売された写真集を持っているのだが(フレンチロリータに弱くてすみません💦)、その中でも目立つのはやっぱり横顔の写真。ルコント監督もその横顔の魅力を、うまく引き出している。さすがだ。
証明写真のボックスに入るローラに、フェリックスが表情で気持ちを教えて、と頼む印象的な場面がある。機械から出てきた写真は後ろ向き。ローラの何かを隠したい気持ち、決めきれない気持ちを表すと同時に、それを見て揺れ動くフェリックスの気持ちまで無言で示す。
(以下、結末に触れています)
そして映画の最後、ローラは虚言症であることをフェリックスに告げる。そのために振り回されて、殺人まで考えたフェリックス。結果はさておき、彼はローラの弱さと寂しさを受け止める。
前半のミステリアスな描写から一転。なーんだ、普通の女の子だったんじゃねーか。ちょっと肩透かしを喰らったような、予想と違う映画の結末かもしれない。でも、悲しそうにしていたら優しくしてもらえるかもしれない、嘘を並べることで誰かが構ってくれるかもしれない、という気持ちは誰もが思う弱さでもある。同情を買いたいわけじゃないけど、誰かに振り向いて欲しい。ラストに本当の自分について語り始めたローラと、それをうなづいて聞くフェリックスに、不思議な安堵感を感じた。