Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ヒーローインタビュー

2024-10-02 | 映画(は行)


◼️「ヒーローインタビュー」(1995年・日本)

監督=光野道夫
主演=鈴木保奈美 真田広之 安達祐実 いしだ壱成 武田鉄矢

エミー賞受賞で真田広之が評価されているのって嬉しい。「翔んだカップル」のチョイ役とか「戦国自衛隊」のチョイ役アクションとか「魔界転生」の初々しさを観てきた僕ら世代に感慨深いものがある。真田広之の過去の出演作のレビューを挙げてお祝いしてる方も多いので便乗しようと思いまする。若い頃観たのは「麻雀放浪記」「里見八犬伝」「彩り河」とかあれこれあるけれど、それはみなさまにお任せして、多分みんな触れないと思うので僕は「ヒーローインタビュー」を。

フジテレビ資本のお気楽恋愛映画じゃねーか、とのご意見はごもっとも。野島伸司脚本によるテレビドラマ出演者が多数出演するテレビっ子に媚びた仕掛け満載。オープニングから"DIAMOND LOVE"とかサブタイトルつけるし、鈴木保奈美と真田広之が屋台で食事する場面の背景は街の灯りがハート型になっているし、映像を見るだけで妙に気恥ずかしくなる。

ヒロイン鈴木保奈美が次第に野球(というか真田広之選手の持論)に惹かれていくのはわかるのだけど、わが身に起きていることになんの抵抗も示さないのが納得いかず。フィアンセの策略によるキャリア丸潰れの人事異動、「結婚して妻としての仕事を」とか言われて嫌なんだろうけど反論もしないし、野球選手を見下す彼氏の言葉を制止することもない。

クライマックスで翻意するまで、男社会に飲まれてるばかりのヒロイン像は、雇用や労働における男女差別をなくそうとしていた90年代の世間の空気を考えるとちと残念な気もする。製作されたのはバブル景気崩壊直後。にもかかわらずこの映画はバブル景気の空気を引きずっている。札ビラ切って取材したり、ヘリコプターをチャーターしたりするヒロインに、自分を重ねて観た人なんてもういないよね。

そんな数々の不満があるのに、僕はこの映画が憎めない。それは真田広之の力演があるからだ。もともとダメ男が頑張る成長物語が好きなのが大きな理由。前半のチャラくて無責任な様子にはイライラするが、かつての栄光から転落した理由、そこから立ち直ろうとする後半の涙ぐましさ。まぁそれもテレビ資本映画のあざとさと言われそう。子役の安達祐実が「私のため?カスミお姉ちゃんのため?」と尋ねて、壁にかけたユニフォームに向かって「あいつのプライドのためだ」と答える場面がたまらない🥹。そこにCHAGE & ASKAの PRIDEが高らかに流れるんだもの(カラオケで会社の同僚とハモってました♪)。デッドボール恐怖症を克服しようとする姿、クライマックスで打席に向かう彼に鈴木保奈美がかける台詞がベッタベタなんだけど泣けてしまう🥹。

真田広之は手品でペンを出したり、卵を隠したりとおチャラけてみせる。(※エンドクレジットに「マジック指導トランプマン」と記載あり。クイズ番組「なるほど!ザ・ワールド」放送されてた時期の映画だよね)東京タワーの展望台でバッタリ会う場面が好き。ここで真田広之はコインを指の上で渡らせるのだが、これは「暗黒街の顔役」でジョージ・ラフトがやってたやつ👍。こういう小ネタ嬉しい。

アクション以外の真田広之出演作で好きなのは「快盗ルビィ」と「つぐみ」、ドラマ「高校教師」。だけどこのベタベタな「ヒーローインタビュー」の轟選手役は大好きだ。ダサいけどカッコいい憎めない男。ヒットドラマの延長線みたいな映画と叩くべからず。照れくさいビジュアルを抜きにすれば、けっこう素敵な映画なんだから。




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