Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

チャイナ・シンドローム

2024-10-12 | 映画(た行)


◼️「チャイン・シンドローム/The China Syndrome」(1979年・アメリカ)

監督=ジェームズ・ブリッジス
主演=ジェーン・フォンダ ジャック・レモン マイケル・ダグラス ダニエル・ヴァルデス

原子炉に欠陥が見つかった原子力発電所で、いくつかの事故が続いた。ジャック・レモン演ずる所長は停止を提案するが、会社と政府は発電を続けさせようとする。テレビレポーターの力を借りてこの事態を告発するのだが、国家という権力がその前に立ちはだかる。

1986年5月。僕は映画鑑賞のメモにこの映画のプチ感想と共に次のような文章を書いている。

-ー先月29日から30日にかけて、ソビエトで原子力発電所の大事故があったらしい。かなりの大惨事になっている。安全装置はとてもずさんなものだったと報道されている。既にポーランドやスウェーデンに被害が及んでいるとかテレビは言っている。回り回って死の灰が日本に及んだりするのだろうか。核シェルターはないものか。ーー

1986年の僕は、チェルノブイリ原発事故の報道をどう受け止めていいのか分からないようだ。その様子が伝わってくる。でもインターネットもない時代。当時の誰もがこんな感じだったのかも。

チェルノブイリのような惨事が起きる映画ではない。メルトダウンした核が地球を侵食して、反対側の中国に被害が及ぶかも…という恐怖を前提にした社会派作品。政治的な発言もしていた当時のジェーン・フォンダらしい出演作でもあった。

それから四半世紀経って東日本大震災、福島の原発事故が起こる。事故から始まった出来事や被災地の状況。自分に何ができるのか。今もなお続く現実の問題。あの頃感じた思いを忘れてはいけない。日本での現実からすれば、映画「チャイナ・シンドローム」で起きた事故は小さなものかもしれない。しかし社員を殺してまで事実を葬り去ろうとした映画での会社や政府の姿は、違った意味での怖さがある。そして僕らはこの10年余り、原発事故から視線を逸らそうとするような人々の言動をあれこれ目にしてきた。

1986年の僕に言ってやりたい。
これが現実だぜ。



コメント
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