Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

プラネット・テラーinグラインドハウス

2007-10-05 | 映画(は行)

◼️「プラネット・テラーin グラインドハウス/Planet Terror」(2007年・アメリカ)

監督=ロバート・ロドリゲス
主演=ローズ・マッゴーワン ブルース・ウィリス フレディ・ロドリゲス マーリー・シェルトン

クエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスが、グラインドハウスと呼ばれたB級映画館の楽しさを満喫させてくれる二本立て企画。日本では別々に公開されたのだが、こちらがロドリゲス版。カーアクションを70年代のオマージュたっぷりに描いたタランティーノと違って、こっちはゾンビ映画への偏愛が込められたホラーアクションだ。

僕はホラー映画嫌い。特に劇場でわざわざお金を払って恐がりにいくなんて理解できない、と常々言っている。ホラーと名がつくものは「チャイルド・プレイ」を観たのが最後だったかな。しかも血なまぐさいゾンビ映画・・とくれば本来は敬遠する映画のはず。だけど、やっぱり2本立て企画だし、観ておくべきと覚悟を決めて劇場へ。最初のうちはスクリーンを飛び交う血しぶき、化膿した舌が音を立ててしぶきを散らす場面、かち割られる脳髄に圧倒されていた。あぁ。やっぱり僕が観る映画じゃない。ところがだ。話が半ばを過ぎてきたあたりから、俄然おもしろくなってきた。そして最後の片足マシンガン娘チェリー・ダーリンの大活躍に大興奮!。メルトダウンする×××、ちょんぎられた××××の袋詰め・・・とオチンチンネタ満載。もうほんっとにガキなんだから。

ロバート・ロドリゲスは本当の映画バカ。撮りたい映画のためなら自らの体を新薬を試すバイトにまで提供して資金を稼ぐ。そして自分が撮りたい映画を自分の手(本作もカメラも編集もすべて自分だ)で撮りあげる男なのだ。この「プラネット・テラー」も、ロドリゲス監督がこんなの撮りたかった!という願望の結集。店中の客がバンパイヤと化すロドリゲス映画「フロム・ダスク・ティル・ドーン」をスケールアップした映画だと感じた。相変わらずガキっぽい下ネタ満載だし、教育上よくないことこの上なし。マーリー・シェルトン扮する女医が注射を武器にするところや、お久しぶりマイケル・ビーンの活躍は実に楽しい。そして「ムダな才能も役立つときがある」と言われたチェリーが、次々と襲い来るゾンビ(化した人間たち)を蹴散らすラストには、妙に感動を覚えたり。タランティーノ演ずるクレイジー兵士の台詞「お前、エヴァ・ガードナーに似てるな!」には思わずニヤリ。

フィルムが1巻まるごとなくなってストーリーが飛んだり、フィルムの傷やノイズは当たり前。そんなグラインドハウスでの映画たちを再現すべく、エフェクトが駆使されている。ローズ・マッグーワンとフレディ・ロドリゲスのベッドシーンは、これでもかっ!と言わんばかりのノイズエフェクトの嵐。きっとタランティーノもロドリゲスも、グラインドハウスで観た映画で、こんなシーンがフィルムの傷でよく見えなかったんだろうな。「おーっ!あーっ!見えないー!」とか口にしながら(笑)。こんなところまでガキなんだから。



コメント (2)
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ミス・ポター

2007-10-01 | 映画(ま行)

■「ミス・ポター/Miss Potter」(2006年・イギリス=アメリカ)

監督=クリス・ヌーナン
主演=レニー・ゼルウィガー ユアン・マクレガー エミリー・ワトソン

 世界中で愛されているピーター・ラビット。
その作者であるビアトリクス・ポターの半生を描いた伝記映画。
彼女が生み出した物語は今も世代や国境を越えて愛されている見事なファンタジーだが、
彼女の生き方そのものにも僕らはおとぎ話のような不思議な魅力を感じずにいられない。
むかしむかし。イギリスのあるところにビアトリクスという女の人がおりました。
彼女の一番のおともだちは、青い上着を着たうさぎ、ピーター。
それは彼女の描いた絵に出てくるうさぎです・・・

絵本風にするならそんな感じかな。
20世紀初め、ヴィクトリア女王時代のイギリスでは、上流階級の女性が職業を持つことをよしとしなかった。
そんな時代に絵本作家として大成する三十路の独身女性。当時としてはかなり型破りな存在だ。
それだけ自己顕示欲のある人かと思いきや、子供のように空想が好きで、いろんなことに興味津々。
そんな少女のような人なのだ。レニー・ゼルウィガーは製作も兼ね、楽しそうに演じている。
婚期を逃した女性役というと、「ブリジット・ジョーンズの日記」にもどっか重なるところも・・。

 映画はピーター・ラビットの出版に関わった編集者ノーマンとの恋物語を軸に描かれる。
二人が訪れる印刷所でのひととき、ホームパーティも監視が離れない。
やっと二人きりになれた自分の部屋でオルゴールをかけながら踊る場面がいいね。
ノーマンはオルゴールに合わせて歌いながら、ビアトリクスと踊りました。
ユアン・マクレガーの男の優しさ。出版を勧めるときも、相手を気遣いながら上手に気持ちを高める彼のやさしい接し方。
しかし、結婚を目前にしながら彼が病死。
ビアトリクスが苦悩する場面の表現は見事だ。

湖のそばに移り住んだビアトリクスは、絵本で稼いだお金で農園を買いました。
それは美しい田舎の風景をずっと残していきたかったからでした。
次々と土地を買ったビアトリクスはその風景をながめて静かに微笑みました。
そして、ビアトリクスが遺した土地は100年前のまま今でもうけつがれているのです・・・。

このあたりがちょっと納得いかなかった。
開発業者との競りに勝って土地を手に入れていくビアトリクスは、当時きっと反感も勝ったと思われるし、
様々な嫌がらせも受けたに違いない。
そこには全く触れることなく、90分そこそこで映画は終わる。
ちょっときれいに終わり過ぎじゃない?。伝記映画ならもっと現実を・・映画館を出て思ったのはそこだった。
でも、ビアトリクスの生き方は僕らにとってファンタジー。
そこをほんわかとまとめるにはこれで十分なのかもしれない。
監督は子豚を喋らせた「ベイブ」のクリス・ヌーナン。
ナショナル・トラストの活動に尽力する現実よりも、僕ら観客を微笑ませてくれるおとぎ話を選んだのに違いない。

同僚のともちんとミキスケちゃんの映画鑑賞におつき合い。
レディスデーに「ミス・ポター」を観ている男性って、
僕くらいではないかと思う・・・。

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