無言の「間」に漂うユーモアと悲哀
* * * * * * * *
1990年代のイスラエルが舞台。
エジプトのアレクサンドリア警察音楽隊が、文化交流のため、イスラエルの空港に降り立った。
しかし、来るはずの迎えがいつまで待っても来ない。
やむなく、路線バスに乗り、目的地へ行こうとしたのだけれども、
似た地名との間違いで、全く見当違いの寂れた田舎町についてしまった。
もう今日のバスはないといわれ、途方にくれる音楽隊の面々。
そこへ手を差し伸べたのは、小さな食堂の女主人で、
とりあえず彼らが分散して泊まる手はずを付けてくれた。
私も、あとで解説を読んで知ったのですが、
エジプトとイスラエルはその少し前まで敵対関係にあったそうなんです。
まあ、だからこそ、あえての文化交流でもあったわけですね。
宗教も、言葉も違う。
だから彼らは、あえてお互い不得意な英語を介して意志の疎通を図ります。
それにしても話が弾まないことったら・・・!
警察音楽隊、というだけあって、もともと妙にまじめな人が多かったのかも。
何を話題にしていいかも解らないし、英語では思うように話せないし・・・。
そこで、妙に無言の「間」が多くなってしまうのですが、
その「間」がなんだか妙におかしいのですね。
音楽隊のメンバーも、決してみな仲が良いわけではないのです。
それこそまじめでコチコチで、しかしリーダーとしては優柔不断、そんな団長さん。
それに反発する若い団員。
いつまでも指揮をさせてもらえないNO.2。
一方、受け入れるイスラエルの町人のほうも、
喧嘩が絶えない夫婦、
女性との付き合い方が解らない青年、
こんな田舎はつまらないと思っていたり・・・
ぎこちない一夜を過ごしながらも、
お互い似た様な悩みを持って、同じような歌が好きで、
・・・と、じんわりと共感が沸いてくるのです。
そう、生きることの悲哀への共感。
彼らが迷子になること以外、特に大きな事件があるわけではありませんが、
ユーモアと悲哀の漂う作品。
じっくりとご覧あれ。
2007年/イスラエル・フランス/87分
監督:エラン・コリリン
出演:サッソン・ガーベイ、カリファ・ナトゥール、ロニ・エルカベッツ
迷子の警察音楽隊
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1990年代のイスラエルが舞台。
エジプトのアレクサンドリア警察音楽隊が、文化交流のため、イスラエルの空港に降り立った。
しかし、来るはずの迎えがいつまで待っても来ない。
やむなく、路線バスに乗り、目的地へ行こうとしたのだけれども、
似た地名との間違いで、全く見当違いの寂れた田舎町についてしまった。
もう今日のバスはないといわれ、途方にくれる音楽隊の面々。
そこへ手を差し伸べたのは、小さな食堂の女主人で、
とりあえず彼らが分散して泊まる手はずを付けてくれた。
私も、あとで解説を読んで知ったのですが、
エジプトとイスラエルはその少し前まで敵対関係にあったそうなんです。
まあ、だからこそ、あえての文化交流でもあったわけですね。
宗教も、言葉も違う。
だから彼らは、あえてお互い不得意な英語を介して意志の疎通を図ります。
それにしても話が弾まないことったら・・・!
警察音楽隊、というだけあって、もともと妙にまじめな人が多かったのかも。
何を話題にしていいかも解らないし、英語では思うように話せないし・・・。
そこで、妙に無言の「間」が多くなってしまうのですが、
その「間」がなんだか妙におかしいのですね。
音楽隊のメンバーも、決してみな仲が良いわけではないのです。
それこそまじめでコチコチで、しかしリーダーとしては優柔不断、そんな団長さん。
それに反発する若い団員。
いつまでも指揮をさせてもらえないNO.2。
一方、受け入れるイスラエルの町人のほうも、
喧嘩が絶えない夫婦、
女性との付き合い方が解らない青年、
こんな田舎はつまらないと思っていたり・・・
ぎこちない一夜を過ごしながらも、
お互い似た様な悩みを持って、同じような歌が好きで、
・・・と、じんわりと共感が沸いてくるのです。
そう、生きることの悲哀への共感。
彼らが迷子になること以外、特に大きな事件があるわけではありませんが、
ユーモアと悲哀の漂う作品。
じっくりとご覧あれ。
2007年/イスラエル・フランス/87分
監督:エラン・コリリン
出演:サッソン・ガーベイ、カリファ・ナトゥール、ロニ・エルカベッツ
迷子の警察音楽隊