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パルプ・フィクション

2009年02月05日 | 映画(は行)
一流の三流小説

           * * * * * * * *

タランティーノ監督を一躍有名に仕立てた作品。
パルプ・フィクションというのは、アメリカの安っぽい犯罪小説をいうんですね。ここに登場するのはギャングたちで、バイオレンス炸裂、やたら血なまぐさい。
さすが、タランティーノ監督。
しかし、この作品の面白さはそういうB級っぽいストーリーでありながら、
構成が計算されつくしているところなんですね。

大きくは3つのストーリーで構成されています。

◆ヴィンセント(ジョン・トラボルタ)とジュールス(サミュエル・L・ジャクソン)のコンビが、仕事をするうちに弾みで無関係の人を撃ち殺してしまい、
その後始末に右往左往・・・。
プロの始末人までいてなかなか愉快。

◆ボスであるマーセルの若き妻ミア(ユマ・サーマン)の食事の相手をおおせつかったヴィンセント。
しかし、ミアが麻薬過剰摂取で意識を失い・・・。
あの、若き日のジョン・トラボルタの名残り。ダンスシーンあり。

◆ボクサーのブッチ(ブルース・ウィリス)はマーセルに八百長試合を持ちかけられ、負けるはずのところを勝ってしまった。
マーセルからの報復は・・・?


・・・そうして、冒頭と最終のシーンがつながるというユニークな構成。
登場人物たちの関連と皮肉な運命。
全く目が離せない展開で、2時間半の長さですが、全然長く感じません。
第一、このキャストの豪華さ。
これで面白くなかったら、インチキともいえますね。
全く三流であるはずの話を一流に仕立てた、
これぞ監督の力なのでありましょう。
サミュエル・L・ジャクソン演じるジュールスのエピソードもいいんですよ。
真正面から銃で何発も撃たれたのに、
弾は一つも当たらず、無傷で済んでしまった。
このとき彼は運命を感じるのです。
これは神の仕業か・・・・?
「俺はもう足を洗う。神を感じるまで、さすらいの旅に出る。」
この映画の中ではきらりと光る言葉でした。

1994年/アメリカ/155分
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ジョン・トラボルタ、サミュエル・L・ジャクソン、ユマ・サーマン、ブルース・ウィリス

パルプフィクション