映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

チェ 39歳別れの手紙 

2009年02月10日 | 映画(た行)
信念は死なない
            * * * * * * * *

革命後のキューバにとどまっていれば安泰な暮らしが保障されていたチェですが、
彼は自らに新たな役割を課し、ボリビアへ旅立ちました。
カストロの元に別れの手紙を残し、キューバから姿を消したのが1965年。
ボリビアへの入国が1966年です。
当時ボリビアは大統領の独裁政権で、農民は圧制と貧困にあえいでいた。
チェはここで、キューバ革命の経験を生かし、
同じやり方で革命を目指したわけですが・・・。

ボリビア共産党の支援が絶たれ、ゲリラ軍は孤立。
なんとも胸の痛む敗走となってしまいます。
キューバ革命の二の舞を恐れたアメリカが、
躍起となってボリビア政府に加担したのですね。
言ってみればアメリカの大資本に負けたのかも知れない・・・。
しかし、そのアメリカが今、このような映画を作ったわけですから、
歴史というのは不思議で皮肉です。


武力闘争の是非については、いろいろあります。
私とて、これに諸手を挙げて賛同はしかねますが、
最後まで、自らの理想に向かい全力を尽くす、
決してブレないその生き方を、尊敬しあこがれます。


映画のエンディングにはレクイエムの歌声が流れ・・・
そして、最後のエンディングロールは無音でした。
キャストやスタッフの名前が、
ひたすらに無音の中、流れていくだけ。
チェを亡くした喪失感の中に、ほとんどの観客が最後まで浸っていました。

2008年/スペイン・フランス・アメリカ/133分
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ベニチオ・デル・トロ、カルロス・バルデム、デミアン・ビチル、ヨアキム・デ・アルメイダ

チェ 39歳別れの手紙 予告編