やっぱ、役者だろう!いや、歌とダンスだ!いいや台本だって!なんなんだ?この舞台の鍵を握ってたのは。
そりゃぁ、なんたって、装置と照明と衣装だろうな。
まずは、装置だ。
まるで工事現場だろ。トンネルの間口は4間、奥行きは3間。正面のレンガ壁パネルは高さが2間ある。なに?間じゃわからん?1間は約1.8メートル、あとは自分で換算してくれ。どでかい壁だってことが分かってくれりゃいい。両側の壁から伸びたフレーム、ここが驚きのアイディアその①だ。鉄パイプ?ぶぶーだな。塩ビ管を使ってるんだ。軽いしさ、加工が容易だからね。こんな長いもの売ってないから当然何本か繋いであるんだが、そうなると強度が足りない。そこで左右のトラスと柱で支え形を保っている。ここに半円形の屋根をかけるんだが、ここも難問だった。塩ビ管のフレームが耐えられ、なおかつ上から照明も取り込むにはどんな屋根にすればいいのか?かなり苦しんだね、装置さん。一発逆転の驚きのアイディアその②、なんと紗幕で覆うなんてことを思いついたんだ。やるなぁ!これで見事、巨大トンネル完遂だ。
さて、ここからは照明さんの腕の見せ所だ。前からの明かりはトンネルの奥には届かない。届いたとしても役者の顔の高さまで照らすのはとても無理。紗幕の上からの明かりがどれだけ透過するかもやってみないとわからない。メインの演技エリアはガードの前部分だが、魔女婆さんの登場とか大切なシーンも幾つかある。さらにバックとしての役割も重要だ。この難関を切り抜けたのが、トンネル内の壁際に置いたローホリライト上下各2灯とコロガシで手立てすることにした。これがまた、ものの見事に決まった!天井の紗幕がホリゾンとの代わりになって美しく輝いたのだ。照明さん、お見事!
お陰で、ダンスシーンが華やかに彩られた。
も一つ特筆ものが、衣装だ。ホームレスの衣装って言ったら、地味で薄汚れてて何枚も重ね着してて、・・・まぁ、ミュージカルの舞台に乗せるにゃちょっとなぁ、って代物だ。だからって、きらびやかな衣装で登場させるわけにもいかない。ホームレス感は残しつつ、見た目楽しい衣装を、って難しい注文を出したが、衣装さん、ものの見事に応えてくれた。
これで、ガード下も華やかなダンス舞台に仕上がったし、登場人物も魅力的に輝いた。やはり、今回の舞台は裏方さんたちだったってことだ。