ちょっとした関りから、サンタもののコント台本執筆を頼まれた。福島市のタクシー会社、この時期運転手がサンタクロースの扮装で乗車してるんだって。その出発式がテレビ取材の恰好のネタになってきていて、年々、セレモニーのエキジビションの趣向がヒートアップしてきて、今年は一つ会社上げてコントで盛り上げようって、まっ、ずいぶんぶっ飛んだ社長さんなんだよ。嫌がらず社長の御酔狂、おっと、失礼、に乗ってコント演じる運転手もかなりのもんたけど。
例年通りテレビ局3社が取材してくれたようだが、残念ながらコントにはカメラを向けてくれなかったみたいだ。まっ、ニュースとしちゃ、コントよりサンタさんのタクシー運転手だよな。下の写真はタクシー会社で撮ったものみたい。いやぁ、こんなオープンスペースでよくやるなぁ!お客さんの反応はどうだったんだろ。って言うか、セリフ聞こえたのかな?
そのサンタネタコントの台本、アップしよう。その気になれば、タクシー会社以外でも一部手直しして応用可能だ。もし、やるきある人達いれば、って、もう遅いか。
『サンタタクシー危機一髪!』
役
参田来る代・世界清く正しきサンタクロース協会日本支部長
警察署長(本物だととても良い)
サンタタクシー社長
サンタタクシー社員
サンタ運転手A
〃 B
〃 C
駅前、今年も恒例のサンタタクシーの出発式が行われようとしている。勢ぞろいしたサンタタクシーとサンタの恰好をした運転手、来賓の警察署長が見守る中、社長の出発宣言が発せられようとしてる。
社長 えー、今年も、いよいよ年の瀬が迫り、(歌う)もう幾つ寝るとお正月、ま、間違えました。(歌う)もう幾つ寝るとクリスマス~~、クリスマスにはケーキ食べて、プレゼントもらって楽しいなぁぁぁ~
と、心地よく絶唱しているところに、社員大慌てでやって来る。
社員 社長!大変です!
社長 (構わず歌う)早く来い来い、クリスマスぅぅぅぅぅ!
社員 社長、歌ってる場合じゃないんです。
社長 そう、歌ってる場合じゃない!いよいよ恒例のサンタタクシーが/
社員 できなくなりそうなんです。(叫ぶ)
社長 そう、できなく、はぁぁぁぁ、なに言っとんだね、君は。こうやって、サンタ運転手も勢ぞろいし、警察署長さんにまでご参列いただき/
社員 で、ですら、そのサンタ運転手に待ったが掛かったんです。
社長 待ったぁぁぁ?
来る代 待ったぁぁぁぁ!
と、駅舎から参田来る代、サンタクロースの恰好、ただし帽子は赤い烏帽子、手に扇を持ち、それを打ち振りつつ登場する。
来る代 しばらく、しばらく、しばらくぅぅぅぅぅ!お待ちくだされぇぇぇぇ!
と、歌舞伎の勧進帳の富樫さながらに見栄を切る。
社長 待てとおとどめなされしは、(と、ここまでつい合わせてしまうが、すぐに気づいて)あんた、誰?
来る代 世界清く正しきサンタクロース協会の参田来る代だ。
社長 清く貧しく美しきサンタクロース協会?
来る代 清く正しきだ。貧しくはない!それにせ、か、い、が抜けておる。
社長 なにが清く正しくだ。その帽子はなんだ?それ、違うだろ。烏帽子だろ。
来る代 図星!烏帽子。うぉっほん!私は、日本支部長だからねぇ。
社員 このお方がおっしゃるには、わが社のサンタ運転手は許可できないってことなんです。
社長 許可できない?誰が言った。
来る代 だ、か、らぁ、(以下早口で)世界清く正しきサンタクロース協会、(ゆったりと)日本支部長の、私だ。
運転手A 社長。許可もらってないんですか?
運転手B 無免許!?
運転手C て、ことは私ら、もぐり、ってことですか?
警察署長、突如立ち上がり、
警察署長 なに!もぐり営業!?逮捕!逮捕!
社員 まあまあまあ。
と、警察署長を押し戻す。
社長 (来る代に)わ、わかった。すまん、挨拶遅れて悪かった。ほれ、(社員に)あれ、ほれご当地名物の、
社員 わ、わかりました。
と、菓子折りを差し出す。
来る代 ち、違う!清く正しきサンタクロースだぞ!
社員 こ、これ、こちらの名物ですから、すっごく美味いですから。
来る代 そ、そうか?そ、それでは、子供たちへのプレゼントに配るとしよう。トリックオアトリート!
と、回りの観客の中の子供たちに配る。
社長 ハローウィンはもう終わった!
来る代 そうだ。クリスマスだ。サンタクロースだ、忘れるな。
社長 忘れてんのは、あんただ。
社員 で、その不許可の理由というのをお聞かせいただけませんか。
来る代 そうそう。それだ。清く正しきサンタクロース憲章その10(とう)。
社長 とう?って10か?
来る代 そう。トウナカイを必ず乗用すべし。
社長 憲章10、トウナカイだってよ、えっ、ト、ト、
来る代以外全員 トナカイ!
来る代 最近のサンタクロース道は乱れに乱れている。サンタクロース泥棒まで現れる始末。そこで、清く正しきサンタクロース道、確立のため、細かく資格審査を行うことにした。でぇ、あんたらの場合は、服装その他は合格。
運転手A 合格だってよ。
運転手B そりゃそうだろ、俺、ゴールド免許だもの。
運転手 C おれ、英語検定3級合格。外人相手だってぺらぺらだ。
社長 そうそう。それ大事だから。
運転手A 私も次は合格します。ですから、その時は、給料アップってことで。
来る代 シャラップ!
思わず黙る運転手たち。
来る代 あんたらが乗っているものは何だ?
運転手 自動車。
来る代 許されると思うか?サンタクロースが自動車なんて。
社長 て、言われても、うちはタクシー会社だから。まさか、トナカイのそりじゃ商売にならんよ。
来る代 そりは、大目に見る。ここは雪が少ないから。
社長 ってことは?トナカイ?
来る代 そう。トナカイに挽かせてもらおう。
社長・運転手 そんなぁぁぁぁ!
と、社員、急いでトナカイの被り物を持って来る。それを車のボンネットに貼り付けて、
社員 これでどうでしょう?
社長・運転手 おおおぅ!
しばし思案顔の来る代、心配げに見守る人たち。
来る代 まっ、いいだろう。大目に見よう。すべての自動車にこれを付けて運転すること、いいね。それが清く正しきサンタクロースってもんだ。
社長 よかったぁぁぁ。それでは、改めて出発式を/
警察署長 待った!
社長 また、待ったぁ?
警察署長 ボンネットにトナカイの被り物を装着すれば、これは違法改造車である。道路交通法により、運行はまかりならぬ。
警察署長以外 そんなぁぁぁぁ!
警察署長 では、あるが、このトナカイタクシーは、子供たちが大いに喜ぶであろう。
来る代 それはそうだ。サンタクロースがトナカイでやって来るんだから。
警察署長 交換条件といこう。このタクシーを使って、子供たちに交通安全教室を開くこと!それをやってくれれば、その日1日だけは目をつぶろう。
社長 たった1日!それじゃサンタ―タクシーにならんよぉぉぉ。どうしよう・・・・
来る代 (大声で)乗った!
社長 な、なんだ、今度は乗ったか?
来る代 子供たちに夢を与えるのがサンタクロースの仕事だ。子供たちが楽しく交通規則を学べるなら、それ以降、トナカイの被り物無しの車でも許可しよう。
大喜びの社長、運転手、社員。
社長 と、言うことで、目出度く、トナカイタクシー違った。サンタタクシーは運航いたすこととなりました。皆様に、夢と幸せと安全をお届けいたします。
全員、拍手。