これ終わらないと冬眠はできない。秋以降、いつこいつを済ませるか、常に頭の中央にどかっと居座り続けて来たんだぜ。
ボカシだよ、ボカシ。ボカシを積んで、来春の種蒔き用肥料を準備すること。ここで失敗すりゃぁ、来年の米つくりは、ない!今年だって危うく1年、棒に振るところだった。最悪の出来のボカシ!芽が出たと喜んだのもつかの間、黄色いままでいつになっても緑が上がってこない苗。おおーっ!恐ろしい!それからの育苗期間、毎日液肥作りとその散布に追われた。
理由は単純、ボカシ原料をけちったからな。ただで手に入る米ぬかだけで作るなんて、虫が良すぎたってことよ。それと、早い積雪!早過ぎだって、11月中旬なんて。井戸の水、仕方なく落としたら、いざボカシ作りの時に水が上がって来なかった。で、その対応、もうバカ丸出しの笑い種。金網ごしに外から積もった雪を投げ入れて、なんとか水分供給をした。ここ掘れワンワンの犬じゃないだからさぁ、まったく。
でもさ、微生物たち、こんなんで満足するわけねえよな、待てど暮らせど発酵始まらず、仕方ねえ、も一度積みなおしだ。今度は、家から水を運んじゃ材料に混ぜなんとか発酵菌たちに我慢してもらった。そんな、出来損ないのボカシだもの、米だっていい顔するわけゃなかったってことなのよ。
今年は、違うぜ!米ぬかも早くから集めて来たし、油粕もけちらず残った2袋使い切ることにした。あっ、この油粕、そこらの農家のお店で売ってるのと違うからね。遺伝子組み換えしてない菜種を圧搾法で、普通は有機溶媒使った抽出法、絞った搾りかすだ。米沢製油(埼玉県熊谷市)からのお取り寄せだ。送料払って届けてもらった油粕、なんかもったいなくて、去年は使わなかったんだが、そんなしみったれが見すぼらしい苗に行き着いたわけだから、今年は、気前よく2袋全部ぶちまけた。
土は、去年の育苗土の残り、米ぬかはコイン精米から運んだビニール袋満杯の10袋と我が家で出たもの6袋。どうだ、これだけありゃ十分だろ。しかも、一番の決め手は、ふんだんに使える水!そう、まだ井戸ポンプ水抜きしてないからね、蛇口ひねりゃじゃっじゃか出るわけなのさ。
土を敷き、米ぬかをぶちまけ、油粕を振りまく。これをスコップと腕でかき混ぜる。3種の材料が接触することで、発酵菌も働く気になってくれるってことだ。もちろん、そこに水をどっぱりと撒く。さらに攪拌・混合。この作業を4回繰り返してボカシ一山積み終えた。これなら行けるだろ、と胸を張りつつ後片付け、自信はあるが、万一発酵が不十分だった時のために、ポンプの水抜きは後回しってことにした。
さっ、これで、来春に向けて、備えは万全!あれっ?なんかこの言葉、すでに何度も言ってる気がする。そうか、一つ一つ、始末を付ける度に、よしっ、万全!って、満足、納得して行くわけさ。一つ一つ、やり終えて、ゆったり冬眠暮らしが近づいて来るってことなのさ。
ぬ