やっぱりだぁ!芽が出ない。播いてもう1週間も経つってえのに。見えるのはしょぼい雑草の芽生えだけ。白菜2品種をポット播きしたんだぜ。ポットの数は80個ずつ、計160個だ。そんなに植えるわきゃないが、まっ、念のため。種もたっぷり入ってたし。
堆肥とボカシと燻炭混ぜた土にしっかり湿りをくれて、ポット一つに7~8粒とたっぷり播いた。上から土を篩って覆土し、再度水を撒いて、よっしゃ!これで芽が出るまで水やりを欠かさなけりゃ大丈夫だ。畑の準備に入ろうぜ。日当たりのよい一角に並べ、トンネルを作り紗幕で覆った。別に白菜は飛んでくる蝶々とか悪さはしないんだが、同時に苗作りしているキャベツたちと同居させたってこと。
迂闊だぁぁぁぁ!その日午後、炎天下37℃になってたんだ。いや、直射日光もろ当たりだから、もっと上がったかも知れない。さらに、不覚にも、その翌々日になるまで、ギンギンギラギラの灼熱が種を殺すかも知れぬ、ってことに気付かなかったのだ。車で、米沢に出かけ、車中は、なに?38℃!?体中の血流、逆流。愕然!種が呻き苦しむ声を聞いた!!それからの数日間、謝罪と祈りを込めて水やりを続けた。が、8日経過も、芽が出たポットはわずかに4個。やっぱりだぁぁぁぁぁ!
ああ、もう、なんてへまをしでかしたんだい。尋常じゃないんだぜ、今年の厚さ。しかも、温度が上がり易いポット播きだ。いっくら固くよろった種だって、うだるだろう。全身やけどで再起不能に陥るだろ。すまん!本当にすまん!
発芽不全が確定した日から数日間、気分は鬱、奈落の底を這いまわった。いかん、これで世界の終り、一冬白菜なしの暮らしが決まったわけじゃない。すでに適期は逃してしまったが、なんとかここから挽回じゃ、と気を取り戻し、急く思いで種屋に走った。
前回同様、2種類だが、うち一つは生育期間の短い70日ものにした。再度土を作り、ポットに入れて種を播き覆土。ここまでは同じ。今回は念のため、乾燥防止と直射を和らげるために、おが屑+もみ殻を薄く播いた。そう、畑に直播きする時の要領だ。で、たっぷり散水。問題は正午過ぎの灼熱線だ。これを避けてやらねば、と、小屋の北側軒下に置いた。さらに念入りにの黒紗幕をかけた。
どうだ、これなら、万全だろう。心地よく発芽する環境が整っただろう。なっ、頼むよ、最短時間で芽を出してぐっぐと育っておくれよ。失われた8日間を少しでも挽回してくれよ。たとえ、半結球だって構わない。贅沢は言わない。白菜のある冬、なんとしても取り返したいんだからさぁ。