菜の花座8月公演、『ダンスホールMitsu』、セリフ読みのダメだし始まった。
本役さんが、セリフを様々工夫を凝らしつつ読んでいく。それをあれこれとケチ付けて演出の意図を伝えていく、それがセリフのダメだし稽古だ。ネチネチと性格悪いこと!でも、ここがすべての出発点、くどい、しつこい、うるさいと煙たがられようと、遠慮会釈なくやり直しを命ずる。単語一つ、センテンスのイントネーション、語尾の置き方、納得いくまで繰り返してもらおうか。
煩いやっちゃなぁ!どこが違うねん、あっ、別に関西人はいないけど、って腹立ててることだろう。何度読ませりゃいいんだ、いい加減うんざりするよ、って、きっと。
でも、聞く者が聞けば、違いは歴然。読み方一つで、人の好いおじさんになったり、横柄な親父になったりするんだ。ここが当人には、なかなか気づけない。耳の良し悪し、経験の不足、セリフの理解力、理由はいろいろだが、自分の声を客観的に聞き取るってのも難しいものなんだな、きっと。とりわけ、経験の浅いアマチュアにとっては。
たった1行のセリフに30分も掛かることも稀ではない。わずか二人のやり取りだけで、その日の稽古が終わってしまうことだってある。でも、ここが一番の勝負所なんだ。まっ、いいいか、と、なあなあでやり過ごすと、その言い回しが前頭葉にがっちり組み込まれて、後から矯正するのがとても難しくなってしまう。
役者それぞれの癖を自覚させ、そこから脱出する方法を探るのにも、いい機会なのだ。もちろん、役の人物の感情を探り当て、同化して行くという重要な過程でもある。そんな、お互い我慢比べの稽古が1カ月半は続く。
ただひたすら言い換える、相応しい表現を探る。苦労、苦心、苦難の時間だが、今回はちょっと意欲を掻き立てる状況が訪れている。
しばらく劇団から離れていた人が二人も戻って来てくれたことだ。事前に参加の連絡をもらっていたので、役も書き加えてある。久しぶり、しかも家が遠いということで、セリフの量や出番を少なく抑えたのだが、そんな気配りはまったく不要だった。連日、熱心に稽古に顔を出し、欠席者の代役を熱心に勤めている。
さらに、入団は検討中ということだが、見学者も現れた。それも若い男性だ。これは心強いゾ。それも、前回公演『ディスタンス』を見て、興味を持ったって、嬉しいこと言ってくれるじゃないの。若手の男、ここがもう長いこと、菜の花座のアキレス腱だったんだ。だから、今回の芝居だって、出て来る男はみんな、悪者のオッサン、ジイサンばっか。絶対に恋模様へは流れようがない。ああ、心中は出て来る。でも、死んでるから出ても名前だけ。寂しい芝居だぜ。
新しい顔ぶれに見守られてると、自然、やる気も沸き立って来る。緊張感も俄然、ピリピリだ。新陳代謝てのは、組織の活力向上には何よりなんだ。さらに、何人か関心があるって人たちの情報もある。いいねぇ!やりたいことはわんさかあるんだからさぁ。
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