インド超古代哲学:3つのグナ(宇宙を造る属性) 2014・2・1
************************************
数は神秘的だ。
それぞれの数に意味合いがあるといわれ、
それで占いをする人も少なくない。
姓名の画数や 生年月日、住所や電話番号にまで
こだわる人はこだわる。
三 という数字は 特に霊数の基調ともいえそうだ。
弥勒はミロク、三、六、九で 九は神の数と
信じている人もいる。
三は、 宇宙原理を一とし、それが動くと二になり、
体現されると、三になるとも考えられ 含蓄の
ある数字の一つのようだ。
例えば一二三神示ではこう書かれている:
”二二は晴れたり日本晴れ、
二二に御社してこの世収めるぞ、
一の神祀れ、
二の神様祀れよ、
三の神様まつれよ。
天の御三体の大神様、
地の御三体の大神様まつれよ”(108)
三位一体という言葉がある。
キリスト教では 聖霊・創造神・イエスキリスト
を一体とみなす。
インドのヒンズー教では、
”天地創造神”、”維持する神”、新生を前提にした”破壊の神”
の三位一体を説き、ヒンズー教やキリスト教などの教えを
大きく含む、世界最古の聖典、ヴェーダでは それを
さらに、哲学的に解釈している。
ヴェーダの中には”三”つのコンビで言い表された
神聖な概念が多々出てくる。
たとえば、
① サッチャム・シヴァム・スンダラム = 真善美
② サット・チット・アーナンダ=真実・実相・至福
③ ブラフマ・ヴィシュヌ・シヴァ=三位一体の神々の名前
三位一体の神は、それぞれ、
創造・維持・破壊・を担当して私たち人間や
宇宙を存続させている。
その神の資質は真理であり、善であり、美であること。
そして、宇宙を貫く至福が
サット・チット・アーナンダという言葉で、表現される。
次に大事な三つの宇宙を造る要素といえば
④ 3つのグナ。
グナというのは資質の意味であり、
人間の資質のみならず、行動と時間、休息と活動のリズム、
さらに、自然のリズムもこの グナに大きく関係している。
なぜなら、この世の中の万物は3つの属性、資質=グナが
表現されたものだから。
そのグナの種類は
① サットヴァ = 浄性
② ラジャス=激性
③ タマス=鈍性
この三つのグナの発展をここで考えてみたい。
アートマという大本の生命から万物が派生する。
① 自然元素:空 風 火 水 地 (パンチャブタスと呼ばれる)
② ①の浄性面から生まれる人間の器官
耳 皮膚 眼 口 鼻 (サットヴァから発生)
③ ②のサンスクリット語での呼び方
サブダ スパルサ パルー ラサ ガンク
④ ③の機能
(聴覚) (触覚) (視覚) (味覚) (臭覚) (いわゆる5感覚)
⑤ ①が檄性面で発生したとき
声・話 手の動作 足・運動 排泄器官 (元素’水’と’地’が排泄器官)
以上の簡単な表記は、
アートマ がすべての根本のエネルギーであり、
そこからパンチャブタスと呼ばれる5つの自然元素が発生する。
それぞれの自然要素 風 空 水 火 地 には3つのグナがあることを
示して、それらが展開していくさまを簡単に表したものだ。
グナの一つ、浄性の面から
耳 皮膚 舌 鼻 眼の 五個の感覚器官が生まれる。
その激性の面からは、
機能面が生まれ、おのおの、聞く、嗅ぐなどの
行動機能を支配する。
グナの特性について)
サットヴァ的要素は外から受ける刺激や印象を内側に柔らかく
受け止める性質をもち、ラジャス要素は受けた刺激に対して
外側に向かい、反作用として働く。
タマス面は従順・謙遜・控えめ・怠惰的な要素を持つ。
一日の私たちの生活を考えてみてもこれに当てはまる
それぞれの時間帯がある。
時間と支配するグナ)
早朝明け方はサットヴァ的時間帯である。
早朝の瞑想が効果的であるのはこの理由である。
仕事場に着くころからだんだんとラジャス的になり肉体も
活動的に動くには適した時間帯となる。
夕方日が暮れるころ、再び、サットヴァ的な時間帯を迎える。
インドの寺院では夕方の祈りがささげられる時間である。
夜は睡眠時間帯となり、タマス的な要素、休む、
活発な時間帯に当てはまる。
食餌消化とグナの関係)
食事はラジャス的な時間帯に終えてしまうのが
一番消化の効率が良く体にもいいとされる。
消化機能は火の性質をもつので、火の要素 ラジャスの
強い時間帯が適しているからだ。
アユールヴェーダとグナ)
アユールヴェーダの診断では まず、
医者は患者の脈拍をとる。
その脈拍によって、身体の状態が判断を下される。
その時使われる表現が水、火、風の三要素である。
水はヴァータ、火はピッタ、風はヴァーユと呼ばれ、
水の要素が強い体質や火の要素が強い場合など、
それぞれの人の性格や体質で身体の状況も異なる、
アユールヴェーダの医師は
“あなたの今の状態はヴァータ―・ピッタです”などと、
診断する。
ヴァータが一番強く、ピッタが次に勝っていると
いう意味である。
三要素が平均しているのが理想的であるが大概の人たちは
何かの要素が強かったり弱かったりして、脈診で、皮膚疾患や
内臓疾患、呼吸器系や消化器系などの状況が大方診断される。
覚醒とグナの支配)
現実世界のすべては、これらの3つのグナに滲透され、
支配されているが、アートマを知るためには3つのグナを
超越しなければならないとインドの聖者は説く。
それはヒマラヤにこもって雪の中でも裸で
生活するということではない。
3つのグナがこの世の中の因縁関係を創っていることを
理解してそれを超越する努力が必要であるという意味だ。
特に激性の性質を持つ ラジャスが支配的になった状況では
人は 怒りやすくなりやすい。
攻撃的で勝気、負けず嫌いで人と軋轢を生じやすく、
報復するために人を傷つけたりしかねないほどの、
激しい行動力のエネルギーとなる。
それがもとで(因)、念(想念)が生まれ、ドラマが造られていく。
因縁のドラマである。
グナを超越するとはそれぞれのグナを調和させていくことで、
そのグナの傾向に流されないように心がけることだろう。
サットヴァ的な浄的な心持であれば
一見平安な心でいられそうだが、
グナ自体には何かを穏やかに受け止めるという
性質以上のものはない。
したがって、ラジャス的な要素も行動するためには
必要となる。
さらに、ラジャスのエネルギーが円滑にまわるためには、
休みというタマス的な要素も不可欠である。
ところが、タマス的要素が心を支配すると、
人に対して穏やかではあっても、自分から何かを自発的に
行動することが億劫(おっくう)になる。
そのため、心の持ちようも次第に消極的になりがちで、
自信もなかなか生まれないだろう。
こうしてみていくと、
この三要素は肉体の維持にはかかせないものであり、
心の機能にもそれぞれが適宜に生かされることが
必要であることがわかる。
バランスが必要であるということは
これらのグナの統合性が保たれるためには
とても大切なことのようだ。