自然治癒力セラピー協会=Spontaneous Healing Therapy Japan

自然治癒力を発揮させるために、心と体の関係を考えます。

介護の現場:理想と現実

2014年06月04日 | 介護と自然治癒力

私をもっと、見つめて!   2014・6・4

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友人の父上が術後、認知症がすすみ、すっかり

変わってしまったという話をこの数か月で2件聞いた。

いろいろな理由があるのだろうが、その矢先に

新聞で次のような記事をみつけて読んだ。

読売新聞4月29日2014年の記事だが、タイトルは

”理想と現実、きしむ現場”と、内容に添えられている。

認知症の人達が長期にわたり入院している病院での

現状を取材し、4月16日から20日の朝刊に連載されていた。

読者の反応も高く、130件を超える感想意見が寄せられた

という。

 

 ほとんどが認知症の家族をかかえて、あるいは、

病院に勤務していての体験となっている。

その中には、

”主治医も一部の看護師も、認知症患者を人として

みていない印象だった。”

と言う、47歳の主婦の意見が取り上げられていた。

父親は70歳代、昨年4月 認知症専門病院に入院

させたが、入院前は歩いていた父が車いすに

乗って、足がむくみ靴がきついらしく、靴下に血が

にじんでいた。

主治医にそれを指摘したところ、

”私だって、一人で90人も診ている”と、逆切れされた。

其の後2か月たって、父親は息を引き取った。

 

これに似たケースとして、51歳の男性は、

入院した認知症の母親の歯磨きがされておらず、

一か月後に退院させたのだが、

”入院前より言葉が出なくなった。

入院させたことを後悔している。”と手紙を寄せた。

 

一人で90人の認知症患者を診なければならない

医師と看護師たち。

医療現場では物理的にどうしようもない人手不足という

問題をかかえて、一人の患者に対するねんごろな

対応が不可能になっているのかもしれない。

新聞には医療現場からの声も載せられていた。

”入院患者が泣き叫んで拒否しても、3人~4人で

押さえつけ 薬や注射で鎮静させる。”

と関東地方のある精神科病院に勤務経験のある

31才の女性は言う。

”(患者の)言葉による暴力も日常的で、患者を

人として扱っていない。~と、以前務めていた

勤務先の実情を訴えた。”

せめて、介護に携わる現場の人間として

自分だけは血の通う、寄り添う看護をしたいと

この女性は思ったという。

”認知症の人達が最期の瞬間まで、自分らしく生きられる

ようにと心の通った看護を試みた。”

しかし、

”周りのスタッフから、’余計なことはするな’と注意された”

と結んでいる。

こうした情景はたぶん日本だけに限ったことではないだろう。

どこの国でも、認知症で暴言や暴力癖が出てきた患者に

対して、介護する側も手っ取り早く、おとなしくなってもらうために

鎮静剤や睡眠薬、体を縛り付けるバンドなどを使っている

と聞く。

 これが認知症の成れの果てか・・・と他人事とは思えず

実態を知れば知るほど 溜息が出てくる。

まだまだ日本では、寄り添う介護 という言葉が現実化するには

時間がかかるのだろうか?

そんな折、一つの素敵で魅力的な介護の技術を教える

指導者のことを知った。

”もっと、もっと、よ~く、私を見て!”

と笑顔で彼は、暴力癖のある認知症患者に語りかけている

姿がそこにあった。

 

ユマニチュードは、フランス人のイブ・ジネストさんと

ロゼット・マレスコッティさんが完成させた認知症ケアの

新しい形といわれている。


フランスでは30年以上の歴史があるが、日本では昨年初めて

研修が行われた。

その特徴は4つの大事な基本ルールにそって、行われている 

ということ。

 

見つめる事

話しかける事

触れること

立つこと

 

実際、ヴィデオでイブ・ジネスト氏が日本のある病院で90代の 

寝たきりの認知症の男性を相手に、デモンストレーションを

しているところを見た。  

 

90歳になってもまだ社会的に活動を続けていたこの男性は 

妻が亡くなると、急に衰えを見せ、現在病院のベッドで

ほとんど寝たきり。

口の洗浄を促す3人の看護師にも暴言や抵抗をして、なかなか口を

開けようともしない。 

仕方なく、体をベッドについているベルトで縛り、腕を抑えながら 

処置をすることになる。

老人は怖い顔で看護士たちをにらみつけて、

時には手を挙げて、彼らが体に触れることを拒んでいる。

一人の看護士がつぶやいた。

”一生懸命しているのですが、なかなか、伝わらず、

なぜ、こんなに怒られたり、時には叩かれたりしなければ

ならないのでしょう?”

イブ氏は そんな情景を見ると、言う。 

”この看護師たちの目線が高い。 

笑っていない。

マスクをしているから口元が笑っていても

わからないし、顏半分が隠れているから

感情も伝わりずらい。


 老人の手を押さえつけたり、ましてやベルトで縛るというのは 

’私はあなたを愛していません’と言っているのと同様です。

部屋に入ってくるときも、ベッドの老人の視線の位置から

ずれているから、いきなり 現れたように感じて、

まず、身構えてしまうでしょう。


安心を与え、心地よさを与えるということが最初から

できていないです。”

 さて、イブ氏なら どのように対応してどのような変化が

この老人に見られるのだろう?

誰も、この老人が別人のように、元気に明るくイブ氏と話す

ことなど想像ができなかったに違いない。

 

 

 

続く~

 

 

 

コメント
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