風呂上りに赤くなるということ:皮膚の排泄作用と呼吸機能 2015・11・3
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朝晩少し冷えてくると、街中にある温泉場に足を延ばしたくなり、自宅の風呂が夏場の時より
ほっこりと心地良く感じてくる。
心地良い風呂に入るためには 風呂の適温というのが大切だが、年齢やその人の疲れや
慢性病などによって、適温も違ってくる。
風邪の効用と風呂の入り方について、前回までお話しを進めてきたが、
今日は風呂の適温と足湯について野口氏の意見を参考にしながら考えてみたい。
風邪時に入浴は有効だが、少々熱めの湯温にサッとはいることがポイントだった。
これは、体に刺激を与えて、引き締めることによって、汗がドンドン出てくるのが大切だからだ。
汗を大量にかけば、殆どの風邪は治るというのは、私が子供のころ、風邪をひけば、
夏でも布団をかぶって、発汗を促し、同時に番茶と梅干で脱水しないよう汗をかけば水分補給し、
こうして半日もいれば、高い熱もうそのようにひいて行ったものだった。
これも、自然治癒的療法の一つだった。
さて、風邪を治すために体を引き締めるための湯温というのは何度くらいなのだろう?
正常な大人の場合、42度から45度ぐらいの間、42度以下はぬるい温度といえよう。
42度の湯が熱く感じられるのは正常な感覚だが、45度でなければ風呂に入った気がしない
というのは、50歳前後に人に多い。
老人年齢になればなるほど、風呂の適温感覚が上昇するようだ。
また、体が疲れている場合も、適温温度が上がる。
体に疲労物質が多くなったとき、例えば、酒を前日飲み過ぎて、肝臓などに老廃物が処理されず
残っているとき、入浴温度も上がる。
また気功的にいえば、気が滞っている箇所が大きければ、大きいほど42度の風呂温では
ぬるく感じられ熱い湯が心地良くなるだろう。
反対に健康な人、若い人、子供のような生気の在る人にとっては、42度以下の風呂温でも
熱く感じる時がある。
野口氏は赤ん坊の例を挙げている。
“赤ん坊が産湯のときに泣くのは、大人の適温で入れられるので、驚くからなのです。
母胎の中は37度から37度五分ですから、その辺りの温度の湯に入れて順々に高めるようにすると、
産湯でも泣かない。
産湯で泣くのは子供の健康度を示すというのは、間違いです。”
自分の風呂の適温が何度なのか、冒頭にも書いたように、最近は温度に鈍感になっている人が多い
のでなかなか知ることが難しい。
一応、皮膚が赤くなったとき、体が適温だと感じていると理解すればよい。
ところが、身体の中に老廃物や疲労物質があるほど、熱い湯に入らないと、赤くならない。
それも、体のある部分だけ、風呂から上がったときに観察してみると、赤くならない部分があることがある。
そのことを野口氏は次のように述べている:
“体に何等かの故障があると、頭では熱いとか、ちょうど良いとか思っているのに、
体のある部分だけ、それを適温と認めない、つまり、赤くならない場所があるのです。
たとえば、風邪を引くと、片方の足が赤くならないとか、消化器が悪いと両方のひざの下が赤くならないとか、
食物に中毒していると、背中の真ん中だけ、赤くならない。”
湯から上がったとき、自分の体を注意深く観察してみると、その時の体の状態がわかるだろう。
私は、町田市地元の温泉、“湯快爽快”に時々、車で行き、地下800メートルからわき出している
ナトリウム系源泉の温泉に憩いを求める。
その際、入り口に近い食堂の片隅に、足湯が用意されているのだが、利用したことはなかった。
野口氏の諸説を知るうち、足湯にはそれなりの意味があることがわかった。
自分の体の一部が赤くならない、それも、足の右か左の偏りで どちらかの足が赤くなり
反対の足がまだ赤くならないとき、そうしたときに、足湯に赤くならない方の足をいれて
バランスをとるためだと知ったのだ。
ただし、その場合、足湯は若干、湯船の湯より高め、一度か2度熱い湯が適当だという。
“もし、風呂から上がって両足が赤くならなかった場合、食物が悪かったのです。
何か中毒したとか、飲み過ぎたとかで、消化器に異常があると、足が療法赤くならない。
体が全部赤くなっているのに、ひざの下だけば両足ともに赤くならないとき、それは、食物の異常。
両足ども、湯の温度を2度上げてまた温める。中には、踝(くるぶし)から先が赤くならないのがある。
そういうのは、喉の異常だから、そこだけ前と同じようにして温めたらよい。
適温に感じても、体が全部赤くならないというのは、その部分だけは適温ではなかった、
あまり温まらなかったという知らせですから、頭の感じだけに任せないでもう一回皮膚の色を見て、
それを確かめるようにした方がいい。“
としたうえで、
“‘足湯をどうぞ’と言われると、風呂に入ることをやめて足湯をすると受け取る人が多いが、
本当はそうではなく、風呂に入った後始末としてそれを行うのです。“
そうした足湯活用をしてこそ、風邪に効果的であるともいう。
昔 子供のころ、母と銭湯に行って、“ゆでたこのように赤くなる”体験をしたが、
最近は風呂に使って、そこまで赤くなるほど湯につかっていたいと思わなくなった。
もっとも、印度時代は10年以上、熱い気候の中、湯船に入らず、
水(外気温度で湯に近い)のシャワーしか浴びず、心地良く感じていたのだから、それも仕方ないと思う。
どちらかというと、42度以下のぬる湯にゆっくりと入っていた方が、体が解けるような気がする。
皆さんの風呂の心地良い入り方はいかようなものだろうか?
さて副題にもあるように、皮膚の作用として大切なのが、毒素の排泄と呼吸作用だろう。
入浴に関連したことで言えば、フグ中毒などした人は風呂を沸かしながら入ると
ジンジンと熱くなる湯の中に毒素が出て行くと聞いたことがある。
皮膚は排泄能力があるから、毒素が湯に刺激を受けた臓器や血管などの助けを借りて、
皮膚から出て行くとも考えられる。
皮膚は 他にも皮膚呼吸をしている。
野口氏はその辺りを自然治癒力と関連させて興味ある意見を述べている
“皮膚を刺激することは、ある意味皮膚呼吸を促進する働きがある。
肺炎の時にシップすると良いというのは、皮膚呼吸の誘導方法です。
だから、当て切りでは皮膚呼吸ができない。
皮膚を刺激してその呼吸を増やして、肺の負担を少なくすることに意味がある。
だから、入浴で風邪を治すという、私どもの考え方は非常識ではない。
非常に合理的なのですが、一般の人は入浴を洗濯と心得ているから、風邪を引くと入浴を止めてしまう。
けれど、風邪を引いたときに在る部分を擦るということは非常に良いのです。
したがって風呂の中で一番熱く感じ無い所を刺激して平均させると言う意味で風呂の中でそこを擦ることは良い。“
皮膚呼吸を促すことで、体、特に肺への負担を軽くするというのだ。
風邪を引いて風呂に入り、皮膚の老廃物を湯で流し、皮膚呼吸に刺激を与えることで
酸素が体に潤滑し、リンパや新陳代謝を促し、風邪のより良い経過を期待できるということだろう。
次回はもう少し風邪の話題から、風邪のより良い経過における注意点などを考えてみたい。
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