局の道楽日記

食道楽、着道楽、読書道楽  etc
生活色々を楽しんで暮らしている日々の記録です

柿にまつわる記憶

2006-11-11 21:01:19 | 記憶の箱
近所に お兄ちゃんのやっている小さな八百屋さんがある。スーパーよりも安いし新鮮なのでよく買いにいくんだけど。今日は 絶対おいしいから ちょっと高いけど持ってきな という柿を買ってみた。

和歌山のもので もともとは渋柿、木になったまま ビニール袋をかぶせて 渋抜きしたものだという。「中は真っ黒だけど 驚かないでね。それが元の渋だからね。ものすごく甘いよ~」 という彼の薦めとおり 二つに割ってみてびっくり。
でもむいてみたら ものすごく甘かった。



実家に大きな柿の木があった。渋柿の木に下の方に甘柿を接いだ木だったけど、私は渋柿の方が好きだった。とても大きいのがたくさんなった。祖父が柿が大好きで 家族の止めるのも聞かず、よくハシゴに乗って木の高いところまで収穫して、それをはらはらしながら下で見ていた幼いころの記憶がある。
隔年ごとにたくさんなって 一度に100個以上くらいとれる年もあった。そうなると廊下にシートを敷いて、祖母、母、お手伝いさんと女手総出で 干し柿を作ったものだった。私も小学校高学年くらいの時は 手伝った覚えがある。キレイに剥いた柿をへたのところで紐でしばって軒下に並べて吊るすと 急に自分の家が農家になったような光景が現れて面白かった。
自家製の干し柿は とても柔らかくて甘くておいしかったし、おやつに食べたり、白和えなど普段の料理に使ったり、お正月までとっておいて、ナマスに入れたりして長いこと楽しめた。
私は木に残って とろとろに熟した柿を冷凍にしてシャーベット様にして食べるのが好きだった(祖母に身体が冷えると怒られながら食べた)

今も実家に帰ると柿の木は健在だけど、昔ほどならなくなってしまったそうだ。
裏庭にあったいちじくも枯れてしまってちょっと寂しい(私の一番好きな果物なのに)
柿が大好きだった祖父も 口やかましかった祖母も あちらの世界に行ってしまった。私の生まれた頃から居たお手伝いさんも おととしくも膜下出血で命はとりとめたものの植物状態になって入院したままになってしまった。
見かけは変わらずにたたずんでいる柿の木が これからどんな風に変わる家の歴史を見ていくのかと思うと 感慨にふけってしまう。
コメント
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