以前、山の近くの小学校に赴任した年に、オオムラサキの飼育が始まりました。 前年度からの計画だったらしく、学校の付近には幼虫のえさになるエノキと、成虫になってからえさにするクヌギとがたくさんあって、オオムラサキの生育しやすい環境なんだそうです。 そこで数の減ってしまったオオムラサキを飼育して放蝶し、オオムラサキを復活させようというプロジェクトだったらしいです。
ところがこのオオムラサキの飼育がなかなか大変。 鳥などに食べられないように専用の小屋を作り、まちがって逃がさないようにかぎまでかけて、おいしいエノキを育てるために毎日エノキアブラムシを退治し・・・・
苦労の甲斐あって1年目に5匹のオオムラサキが羽化しました。 オス3匹、メス2匹でした。 やがてメスは卵を産み、なんと幼虫が生まれたのです。 初めての飼育としては快挙でした。
わたしは4年間オオムラサキの成長を観察してホームページを作成したのですが、ネット上にアップしておりません。 なぜなら、まだネット上にアップする方法を教えて知らなかったから。たくさん撮った写真も公用のカメラのため、学校に残してきました。
これは、貴重な羽化の写真。 この写真を撮るまでには涙ぐましい努力があったのですよ。
羽化直前のさなぎ。 羽化が近くなると羽の色が透けて見えるようになります。 そんなさなぎを枝ごと花瓶に挿して羽化を待つのですが・・・・・・
いつも、知らない間に抜け出しているのです。 一度などは、会議中目の前に花瓶を置いてそれをにらみながら話し合っていたのに、ふと見るともう蝶になっていたりして。
実際に抜け出すのを見られたのは1回だけです。 もちろんビデオも撮りました。
セミは背中が割れ始めてから徐々に、徐々に体をだしてきますが、オオムラサキは、体を大きく一振りしたかと思うともうパックリと割れて体が出てくるのです。 あっという間です。 でも感動的な誕生でした。
出てきた蝶はまだ羽が縮んでいます。
少しずつ、少しずつ羽が伸びてきます。 きれいな青紫が見え始めました。 これはオスです。
ほとんど羽の伸びた状態。
羽化の瞬間を見たいがために次々とさなぎを職員室に持ち込んで、ビデオカメラをおいて・・・・とK小学校のオオムラサキは、半分くらいは職員室で羽化したものです。
振り返ってみると次々と思い出すことがありますので、明日もオオムラサキの飼育の思い出を書くことにします。