切れ味が鋭いのは鑿のみに非ず
2016年5月10日(火)
「切れ味が鋭いのは鑿のみに非ず」。ただ単に駄洒落ではありません。子どもの頃、日本刀の切れ味が鋭いという話は多くの人から聞いたことがあります。髭の濃い人が日本刀で剃ってもらっていたと言います。
切れ味が鋭いのは、日本刀のみに非ず、鑿もまた、そうなんです。
フィリップ・クイケンさんです。日本に在住していて、ヴァイオリンを作っている職人です。
日本のノミを使っているのですが、日本のノミは溝があると言います。
このように溝があると、使いこんでも刃の部分の水平が保たれると言います。ヨーロッパのノミは、このような溝がないため、使っているうちに、刃の部分が円弧になると言います。
溝があると、使い勝手も良いそうです。
細密な作業が必要になります。
・・で、使っているのは全部日本製ということです。切れ味が鋭いのは、日本刀のみに非ずです。
この方は、先日亡くなった、ニコラウス・アーノンクールという指揮者です。何に驚いているのでしょう?
リハーサルの様子です。
「日本の包丁のように切れ味鋭く!」と言っています。このオケが日本のオケならこのような説明は分からないではありませんが、コンチェルトムジクスというオーストリアのオケなんです。でも、先程の鑿の話でもあるように、ヨーロッパでは、日本の刃物の切れ味が鋭いというのは市民権を得ているのかなと思います。
切れ味が鋭いのは、鑿のみに非ず、包丁もです。
アーノンクールの演奏は、アタックの部分が鋭く、確かに切れ味鋭く感じます。最近TVでモーツアルトのレクイエムが放送されましたが、ヴェルディのレクイエムのような激しい演奏でした。
切れ味が鋭いのは、日本の包丁のみに非ず、アーノンクールの演奏もです。