最近の新聞報道によると、近い将来、センター試験に代わる「新テスト」が二つ創設されるという。
一つは、大学入試用の「新共通テスト」。これは高3生が受験する。
もう一つは、「到達度テスト」。たぶん、高2以降から受験機会が与えられる。
どちらも複数回の受験が可能で、この組み合わせと、各大学による面接や論文試験などとあわせて、入学判定が行われることになる … 。
という、理解であってるのだろうか。
「新共通テスト」は、段階別の評価にすることで、「知育偏重にならない」評価をすると、記事にはあるけど、ほんとにそういう発表だったのか。
試験の結果を、点数別ではなく段階別にしたところで、知育偏重でなくなるということはないはずだが。
そうか、解いてるときの姿勢やら、試験会場で元気にあいさつできたとかで、点数が上がるというような新しい観点が生まれるのかな。
それは大事かもしれない。
たとえばセンター試験のリスニングの前に30分にもおよんで行われる試験官の注意事項を、そわそわせずにじっと聞いていられる力は、将来就職した後に、えらい人のありがたい訓示をだまって聞いていられる力に通じるというような判断もあるのかもしれない。
いや、そのまえに、大学の授業かな。講義の最中に、居眠りや私語や雑談や飲食やゲームやダンスや飲酒や喫煙や喧嘩をしないで90分座っていられる力は、英語や数学の点数よりも大切だ。
とにかくテストの問題の性質も変わるということなのだろう。
で、誰がつくるの?
二種類のテストが毎年複数回実施されるということは、相当数のスタッフが必要になる。
今のセンター試験の比ではなくなるだろう。
センターの問題作成に携わるのは一部の先生方だが、自分の大学の問題はほぼ毎年つくる方が多いはずだ。
ごく少数の国立大学に奉職されている方にかぎれば、回り番ですんでいるのだろうが。
そして試験そのものは、どこで誰が担当して実施されるのだろう。
『大学入試担当教員のぶっちゃけ話』(中公新書)を読むと、大学の先生方が入試に関して莫大な仕事をこなしていることの実情がわかる(高校教員からすれば、それぐらいなんなのとは思うけどね。部活も生徒指導もないに等しいわけだし)。
でも、今の試験制度を維持するのでさえアップアップしてる状況で、新たにうちだされた入試改革が、その改革の労に見合うほど成果があがるか、疑問だ。
ていうか、現実問題として可能なんだろうか。
個人的には「到達度テスト」には賛成だ。
とくに国が「必修」と指定した科目については、合格点をとれなかったら、その単位は認定されず高校卒業資格がもらえない、という形にするのが筋だろう。
その授業が形式的に行われていたかどうかだけでなく、ちゃんと中身が習得されているかが大切なはずだから。
どんな試験に変わっても、どんとこいだけど。問題作成スタッフが足りないなら、いくらでもお手伝いするつもりだ。センターレベルでいいなら。