学年だより「ホリエモン」
堀江貴文氏、40歳。東大在学中に、ホームページの製作管理を行う会社「オンザエッジ」を設立。
みなさんが生まれる少し前で、インターネットが一般に普及しはじめた時代だ。
その後会社は「ライブドア」と名前を変え、時代の流れにのって急成長する。
IT起業家の草分けであり、時代の寵児とよばれた彼は、プロ野球の球団を買収しようとしたり、フジテレビを傘下におこうとしたり、総選挙に立候補したりする。
メディアで彼の姿を見ない日はない、という時期が続いた。
ただし「出る杭は打たれる」という諺をこれほど具現化した方もめずらしいだろう。
証券取引法違反の疑いで逮捕されると、裁判の結果、刑が確定し収監されることになる。
まもなく発売される堀江氏の本の文章には、「金に物を言わせて好き勝手してきたIT社長」という世間のイメージとは、全く異なる姿が語られていて興味深かった。
福岡県の片田舎で育った堀江氏は、久留米大附設中高という名門進学校に進む。男子校だ。
成績はぱっとしなかったが、このまま九州にいたのでは自分の人生に発展性はないと思い、東大受験を決意した。
大学進学を機に自宅を出たい、親と離れて暮らしたい。九州大では自宅から通わせられる。早稲田や慶應は経済的に許されるはずはない、一橋と言っても親は知らない、東大しか選択肢はない、というのが結論だった。
理系を勉強して、将来は航空工学の研究をしたいという、漠然とした夢はあった。
しかし、東大受験を決意したのは高3の春。現時点での成績と、二次の数学を考えたとき、時間的には絶対に間に合わない。
文系で入学し、「進振り」とよばれる学内での進級の際に理系学部にうつろうと心に決める。
~ そうなればポイントは英語だ。当時、僕の英語は5~6割の正解率。まさしく判定不能、「あきらめなさい」のレベルである。
過去問を何度も読み返した結果、僕のたどり着いた結論はこうだった。
受験英語とは、とにかく英単語を極めることに尽きる。文法に惑わされてしまうのも、すべては単語の意味を取り違えているからだ。単語力の強化が、そのまま英語力の強化に直結する。
実際、僕の単語力はかなりお粗末なものだった。そこで英語の教師におすすめの単語帳を教えてもらい、片っ端から丸暗記することにした。暗記するといっても、よくある単語カードによる暗記ではない。
単語帳の隅から隅まで、派生語や例文も含めてすべての文言を「丸暗記」していくのだ。ちょうど、俳優さんが台本を丸ごと暗記するようなイメージである。
自分に課したノルマは、1日1見開き。12月に終える予定だったが、予定より早く進んで、秋口には全ページを一言一句漏らさず暗記することができた。 (堀江貴文『ゼロ』ダイヤモンド社発売予定・「堀江貴文メルマガ」より) ~