昨日から新年の練習を開始した。目前にせまったニューイヤーコンサート、新人戦に向けて、いきなりギアをあげないといけないのだが、なかなか思うようにいかない。
でも、ニューイヤーでふつうに演奏するだけではお客さまの期待に反するにちがいないと思い、一曲お歌を入れることにし、楽譜をくばった。
聞いてみたいCDがamazonもバンドパワーも売り切れだったので、練習後、新宿のタワレコに行った。久しぶりだ。その、スパーク「風のスケッチ」、昭和音大「富士山」は、案の定すぐ見つかった。
タワレコとジュンク堂はいつも裏切らない。
それだけで帰るのはもったいないので、テアトル新宿で「はなちゃんのみそ汁」を観る。
この素材を、広末涼子と滝藤賢一で撮ったら、泣ける作品にしない方が難しいだろう。
帰りのTJライナーの中で、「富嶽百景」を実写化するなら、どんなキャスティングがいいだろうと突然思いついて、超豪華版をつくってしまった。
主人公の「私」(太宰治)は伊勢谷友介、師匠の井伏鱒二は平泉成。
峠茶屋のおかみさんは熊谷真実、その娘は杉咲花。
井伏鱒二の紹介でお見合いをし、後に婚約するお嬢さんに黒木華。
バスの中で出会い「おや、月見草」と指さす老婆は高橋恵子。
婚約はしたものの実家から資金の援助がないことがわかり、どうしましょうと相談に行ったとき、身一つで何の問題もないと言う黒木華の母親は、原田美枝子。
~ 「ただ、あなたお一人、愛情と、職業に対する熱意さえ、お持ちならば、それで私たち、結構でございます。」
私は、お辞儀するのも忘れて、しばらく呆然と庭を眺めていた。目の熱いのを意識した。この母に、孝行しようと思った。
帰りに、娘さんは、バスの発着所まで送ってきてくれた。歩きながら、
「どうです。もう少し交際してみますか?」
きざなことを言ったものである。
「いいえ。もう、たくさん。」娘さんは、笑っていた。
「何か、質問ありませんか?」いよいよ、ばかである。
「ございます。」
私は何をきかれても、ありのまま答えようと思っていた。
「富士山には、もう雪が降ったでしょうか。」
私は、その質問に拍子抜けがした。
「降りました。頂のほうに、――」と言いかけて、ふと前方を見ると、富士が見える。変な気がした。
「なあんだ。甲府からでも、富士が見えるじゃないか。ばかにしていやがる。」やくざな口調になってしまって、「今のは、愚問です。ばかにしていやがる。」
娘さんは、うつむいて、くすくす笑って
「だって、御坂峠にいらっしゃるのですし、富士のことでもおききしなければ、悪いと思って。」
おかしな娘さんだと思った。 ~
この母娘、いいなあ。
その談判をしにいった後、「私」は仕事がすすまない。
「お客さん。甲府へ行ったら、悪くなったわね。」
茶屋の娘が「しんからいまいましそうに、多少、とげとげしい口調で」言う。
~ 「そうかね。悪くなったかね。」
娘さんは、拭き掃除の手を休めず、
「ああ、悪くなった。この二、三日、ちっとも勉強進まないじゃないの。あたしは毎朝、お客さんの書き散らした原稿用紙、番号順にそろえるのが、とっても、楽しい。たくさんお書きになっていれば、うれしい。ゆうべもあたし、二階へそっと様子を見に来たの、知ってる? お客さん、布団頭からかぶって、寝てたじゃないか。」 ~
ここは花ちゃんだな。黒島結菜ちゃんでもいいな。
甲府の女性をどの程度意識させるかが、演出のかぎになる。
峠にやってきて、「私」に写真を撮ってくれとせがむ赤い服を着た二人組は、音楽座ミュージカルから友情出演の冨永波奈、北村祥子。
すばらしい布陣になった。監督は、石井裕也でしょうね。
今日は、合奏の続きと、お歌の続き。歌はいい感じになりそうな気がしてきた。曲の音程は合わない。