おもしろかった。前半のピンク部分は。
原作を読まず前情報なしででかけたので、前半から後半に移り、画面から色がなくなって、なるほどピンクとグレーかとわかった。
ピンクパートの最後の場面で、なんかいい青春映画だよねとウルっときた瞬間の転換だった。
あのままいい気持ちで帰りたかったなあ。
もちろん、後半がないと、この作品の意味がないのだろうし、それなりに訴えかけてくるものはあった。
前半がよかったのは、何より役者さんのお芝居がはまっているからだ。
とくに菅田くんは、もうおしもおされぬ映画俳優、演技派と称していいでしょう。
幼馴染みの中島くんと二人で芸能界に足を踏み入れ、あれよあれよいう間にメジャーになって親友を見つめる目に、素直に喜んであげたいのに、羨望をまじえてしまい、そんな自分がまた嫌になっていくという複雑な思いが見事にともっている。
セリフとしての言葉とはうらはらの気持ちが、体全体のどこかで表現されていて、せつない。
これだけの技術って、学んだからすぐ身につくものではないんじゃないかな。
後半、中島くんがメインになると、そのへんが物足りない。前半に菅田君をみなければよかったのかもしれないけど。けど、ビジュアルはいいし、素直そうだから本気で勉強すればいい役者さんになるんじゃないかな(は、 何様?)。
それだけ、お芝居そのものが大事だなと思ったのだ。
楽器でも同じだ。
レッスンできていただいているユーフォニアムの先生が、先日終わった後にかるく吹かれていた「アメイジンググレース」の一節に泣きそうになったことがあった。
お芝居では、その内容がそんな深いものでなくても、複雑なものでなくても、演技そのものの質で十分泣ける。
むしろ生の舞台だったら、内容は二の次かも知れないとさえ思う。
難しい曲じゃなくても、複雑な和音をつかってなくても、いい音はそれだけで人をひきつける。
そのうえ心がこもっていたなら、泣かせるのはたやすい。
それだけ、技術は大事だとあらためて考えさせられた。
夏帆ちゃんも、大人になったね。