4月2日。入学式。
生徒会長のあいさつを聞きながら、つまりは言い方なんだなと、思う。
彼ってこういう声だったっけ? 新入生からすれば、いかにも先輩的な大人びている声というより、むしろ純粋な少年的な話しぶりに聞こえたのではないか。
話している中身も、困ったことがあったら何でも僕たちに言ってください、力になりますという、ありきたりといえばありきたりの話だ。
なのに、どんどん胸にせまってきたのは、彼が心からそう伝えようとしていると感じたからだ。
新入生たちはどう感じただろう。一人一人名前を呼ばれたときの返事を聞く限り、川東第一志望じゃなかった感をばりばり発している子もいた。
でもね、会長さんみたいな先輩がたくさんいるから。
第一志望で入学したのに、なんか最初からすこし斜に構えていた数十年前の自分を思い出しながら、一歩踏み出して素直にいろいろやってみるといいよと言ってあげたくなる。あと、この学校は女子が身近にいないのが実にいい点だと思うのだ、詳細を記すと数々の暗い過去が露呈するので書かないけど。
入学式のあと歓迎演奏会。二度目の公演になるサームさんは、実ののびのびと歌い、語ってくれた。