水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

猪木vsアリ

2016年06月13日 | 日々のあれこれ

 

 この歳になって猪木vsアリ戦を見直すと、アントニオ猪木というレスラーがいかにクレイジーであったかを思い知らされる。
 1976年6月26日のことはよくおぼえている。
 その夜おれは東京にいた。(おっ?)
 そう、中学生のミズモチ少年は東京の(たぶん)青山にいた。
 家出して猪木vsアリ戦を観にはるばる夜汽車に乗ってやってきた … わけではない。だいたいチケット手に入らないしね。
 当時、郷里の太鼓保存会子ども部に所属していて、芦原温泉の宣伝チームの一員として、はるばるお江戸にやってきたのだ。そして福井県の施設である青山荘に宿泊し、食堂のテレビでその試合を観ていた。
 なんやし、もっと攻めぇま、そこでいかな、という大人の人たちの声を聞きながら。
 試合のあった武道館のそんな近くにいても、テレビの試合は遠い世界のものだった。
 しかし、子どものころから馬場よりも猪木にひかれ、タイガージェットシンや、大木金太郎、ビルロビンソン戦をわくわくしながら見てきた自分が、それらのプロレスの試合とは何か違うと感じてはいたと思う。
 昨夜の放映を見ると、猪木がアリと同じリングに立っているというだけで、ドキドキしてしまう。
 あの距離感でアリがいたら、一般人であればピストルを持ってる人より怖いのではないか。
 なのに、本気で闘おうとしているばかりか、余裕の笑みまでうかべている。
 プロレスがどういう仕組みで行われているものか、その詳細を知るのはずっと大人になってからだ。
 プロレス的なだんどりのないリングで、アリと対峙している猪木というのは、ヒクソンを前にした高田とは全然ちがうレベルですごい。後にも先にもこんなレスラーはいない。
 当時、凡戦とか茶番とか評する人もたくさんいたが、いったいどこを見ていたのだろう。
 青山に泊まった翌日は、銀座のソニービルの前で太鼓をたたいたことを思い出した。
 まさか自分が将来、表参道やら晴海通りやらをさっそうと歩くようになるとは、その時は思っていない。あ、なってないのか。

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ドミノ倒し

2016年06月13日 | 学年だよりなど

 

  学年だより「ドミノ倒し」

 インターネット時代に対応した新しいエンターテインメント事業を模索する会社「コルク」を立ち上 げた佐渡島庸平氏。講談社時代、編集者として、『バガボンド』『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』などを大ヒットに導いた人だ。そんな佐渡島氏が、新入社員時代にどんなふうに仕事に臨んでいたか。


 ~ ぼくが新入社員時代に重要だと思ったのは、「電話取り」と「ファックス配り」でした。この二つをしっかりやることが、その次のドミノをどんどん倒すことになる。その1枚目のドミノを徹底的に攻めよう、と考えたのです。
 電話を取ったり、ファックスを配ったりすることは、雑務でしかないと捉えて、早く後輩に引き継ぎたいと思いがちです。しかし、ぼくは、その二つを時間があるかぎり、数年たってもやっていました。
 新人がファックス配りをやると、フロアのみんなの顔を覚えられますし、相手にも顔を覚えてもらえます。そのときに、あいさつや雑談をすることで、自然な形で仕事の情報をもらうことができます。さらに、ファックスの宛名と中味がちらっと見えるので「誰がどれくらい、外部のどんな人と付き合っているか」が推測できます。直接仕事を教えてもらわずとも、そのような情報から先輩たちの仕事を想像することで、自分のやることもだんだんとわかるようになります。
 最近は、ファックスも電話も、ほとんど個人のメールや携帯になってしまいましたが、雑務は観察の仕方によって予想もしない情報に触れることができるのです。 (佐渡島庸平『ぼくらの仮説が世界をつくる』ダイヤモンド社) ~


 早く仕事を覚えて、大きな仕事をまかせてもらえるようになりたい、今与えられている雑用からは早く卒業したい … 。
 やる気に満ちた新入社員は、半ば無意識にそんな思いを抱きながら働き始めるのではないか。
 しかし、大事なのは、「雑務」と片付けがちな「小さな」仕事に、いかにしっかり取り組みかだ。
 去年の今頃紹介した「コピー取りにも三種類ある」という文章ともつながる。


 ~ 「コピー初級」は、機械の操作をただ単に知っているだけ。他人に聞かなくてもとりあえずコピーを取れる段階。「コピー中級」は、たとえば、10枚のコピーをするとき、最初の一枚目を刷って、紙の傾き、文字や写真の濃度を確かめてそれから残りの9枚を取れる人。最初から「10」枚の数字を入力して刷る人はまだ初級です。「コピー上級」は、ちょっとした上司の依頼の紙にも(時間をかけずに)目を通し、「この人はこんな文章を書くんだ」とか「こんなことがいま会社で話題になっているんだ」というように、内容についての関心を持ちながら印刷できる人。場合によっては、書類の不備(誤字や脱字も含めて)を指摘することもできる人。 (芦田宏直『努力する人間になってはいけない』ロゼッタストーン)
 ~


 「雑務のなかに仕事の本質がある」の原則は、勉強や部活にももちろんあてはまる。

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