水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

ドミノ倒し(2)

2016年06月17日 | 学年だよりなど

 

  学年だより「ドミノ倒し(2)」


 せっかく正規の社員として就職できても、「自分が思い描いていたような仕事じゃなかった」「毎日雑用ばかりでやりがいがない」「自分がいかせる仕事とは思えない」 … というような理由で、早々と転職する若者がいる。
 仕事を短絡的な自己実現の場と思わせる言葉があふれている時代のせいかもしれない。
 「自分のやりたいことを見つけよう」「自分にしかできない仕事がある」「あなたには天職がある」「自分の可能性をのばして輝かしい人生をつくろう」というような。
 「やりたいこと」をやっていいのが人生だ。
 ただ、その「やりたいこと」は、待っていると降ってくるように与えられるものではない。
 探しにいって見つかるものでもない。わざわざ探しにいかないと見つからないようなら、むしろ「やりたいこと」とは言えない可能性のほうが高い。
 この仕事は自分が「やりたいこと」ではないと判断する人の場合、判断するほどちゃんとやらずにそう言っている例もある。ていうか、その方が多い。
 コピー取りやファックス配りをただの雑用としか考えられない人の場合だ。
 無意識のうちにでも、雑務の中に仕事の本質を感じ取れるようになってはじめて、その意味がわかり、それをやる自分の存在価値を意識できるようになる。
 日々みなさんが取り組んでいる勉強にも部活にも同じことが言えるだろう。
 用具の片付けができない子は上手になれないし、そうじの下手な子が想像力のあるプレーをできるようにはならないのだ。
 体質そのものをアスリートにしてはじめて、一瞬のプレーの質はあがる。
 授業中に配られたプリントをすぐノートに貼れない人の成績があがる例はほとんどない。
 体質そのものを勉強的アスリートにしてはじめて、学ぶ力の質は上がる。
 大逆転を狙って、学校の宿題をやらないまま塾や予備校に行き始めた子が成功した例は、本校に関して言えば過去一例もない。目の前の一枚のドミノを倒すところからしか始まらないのだ。


 ~ 多くの人はなるべくたくさんのドミノを倒そうと躍起になります。でも、倒したドミノのすぐ後ろにドミノがなければ、手数を打っても、大きな変化は起こせません。もしくは、到底倒れそうもない、大きなドミノを一生懸命倒そうとする人もいます。でも、手前の小さなドミノも倒していないのに、いきなり大きなドミノを倒すことなど不可能です。
 連鎖の起きるドミノをきちんと倒せば、確実に変化を起こすことができる。ぼくはそう考えています。では「そのキーとなる1枚」とはどういうものでしょうか? ぼくはそれこそが「基本」だと思っています。基本を徹底することで、自然にドミノが倒れていき、気付けばものすごく大きなことが実現できているのです。 (佐渡島庸平『ぼくらの仮説が世界をつくる』ダイヤモンド社) ~


 様々な分野で大きな成功を収めている人たち、華々しく活躍している人たちも、一枚のドミノを倒すところからスタートしている。
 イチロー選手をみて分かるように、大成功した現在においても一枚ずつ倒し続けている。

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