部員たちの中にも興味がある子はいただろうが、さすがに試験中は無理なので、顧問が代表して聴いてきたのは、「ぱんだウインドオーケストラ」。
数年前、芸大の学生さんが立ち上げたバンドで、うちのOBのお兄ちゃんも作曲家として関わっていた。あれよあれという間に、CDデビューをし、テレビにも出、なんと今夜はオーチャードホールを満員にする。
結成時から応援しているお母様方のなかには、微妙な寂しさを抱いている方もいるにちがいない。
「オーチャードブラス」という企画もので、指揮は、精華女子、活水女子の藤重佳久先生がをなさった。
藤重先生が全国金賞をとられた「フェスティバル・バリエーション」「華麗なる舞曲」「宇宙の音楽」は、ぱんだのメンバーにとっても容易ではないはずだが、さすがに上手な高校生が死ぬほどさらいました的な悲壮感の漂わない、軽快かつきめ細かい演奏だった。
生で聴くのは初めてだが、芸大生は(ていうか、卒業したのかな)やっぱり上手だ。あたりまえだけど。
ただ、藤重先生との出会いが本当に幸せなものなのだろうかという疑問も正直もってしまう。
藤重先生は「普通の」吹奏楽の最高峰にいらっしゃる方であり、もちろん尊敬の念ももっている。全国大会直前のリハーサルを一瞬だけ見学させていただいたこともある。
このメンバーで演奏できれば、それはそれは上手だし、楽しいだろうけど、本気でプロとして生きていこうとする若手の演奏会と考えたなら、もっととんがった曲を、とんがった演奏を聴きたい。「普通に」上手なだけじゃおもしろくない。あまりにももったいない。ぜいたくな願いとは思いつつ、これからの吹奏楽を憂えるものの一人として。ただ、それほど上手なメンバーのなかで、さらに上野耕平さんのサックスは突出していると感じるくらいすごかった。