水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

文武両道(2)

2020年04月07日 | 学年だよりなど
3学年だより「文武両道(2)」


 そう考えた西山先輩がまず行ったのは、1日24時間のプランニングだ。
 24時間の中から、授業と部活、6時間の睡眠を引き、いかに勉強時間を多くつくり出せるか。
 電車に乗っている時間、休み時間は当然勉強だ。
 自宅で夕飯を食べる際には英語のリスニングをする。
 大会の開会式では入場行進を待つまでの時間がもったいないと感じ、ポケットに忍ばせた単語帳を取り出したこともあるという。
 毎日キッチンタイマーで勉強時間を測る。それを記録する。
 定期試験では、やればやっただけ成果があがることに気づくと、勉強が楽しくなっていった。
 高校2年の春。東大野球部と練習試合を行う機会があり、当時の監督の浜田一志先生のお話をきくことができた。
 「東大に合格するのは天才ばかりではない、むしろそういう学生は一握りだ」という言葉を聞きながら「自分も努力すれば可能性はあるのか … 」という思いが芽生えた。
 睡眠時間は絶対にけずらずに、時間配分を再度見直し、取り組むようになった。
 勉強への工夫は、野球にもいかされる。
 同学年のエース宮崎君、ライバルの山田君、一学年下には蔭山君 … 。
 なんとか自分もメンバーに入りたい。ストレートが125km/hの自分がメンバー入りするには、来るとわかっていて打てないレベルのカーブを投げたいと研究を重ねた。
 残念ながら3年になって肩をこわし、裏方に回ることになったが、退部はしなかった。


 ~ 「もし野球部を辞めて受験で落ちたとき、全部自分の責任になっちゃうので。僕は10分サボったことも気にしちゃうタイプです。全部の時間を勉強にささげるのは、結構難しいと思っていました。身体的には二つやっていると辛くて、一つのほうが楽かもしれないけど、精神面では一つしかないのは結構きついなと思います。それを失ったとき、何もなくなっちゃうので」
 西山は自身を「悲観主義」と捉えている。「サボったら、全部自分のせい」と考える傾向があり、逆に野球を続けることで勉強に手を抜けない環境をつくり出した。時間を区切った中で自分自身をうまくコントロールし、目標の東大合格という山を登り切った。
「川越東じゃなければ、こんなに勉強しなかったと思います」 (中島大輔「REAL SPORTS」4月4日版)~


 野球部がどれくらい練習に時間を割いているかは、みなさんの方が知っていると思う。
 仮に野球部の他のメンバーがそれほど勉強しなかったなら、違った結果になったのではないか。
 全員が練習もがんばり、同じテンションで勉強にも向かう。
 みんなでやるからこそ文武両道は可能だという事実を、先輩達は身をもって示してくれた。
 西山先輩たちが苦労してむりやり生み出した時間を、今のみなさんは濡れ手で粟の状態でわしづかみにしている。共通テストの範囲は、ほぼほぼ学習し終わってもいる。
 やってやろうじゃないか。もう一回取材させてあげようじゃないか。

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文武両道

2020年04月07日 | 学年だよりなど
3学年だより「文武両道」


 進級おめでとうございます! 4月4日、Yahooニュースサイトに、「なぜ野球部から東大現役合格できたのか? 川越東 新しい文武両道」という記事が配信された。


 ~ 川越東は偏差値60代後半の進学校で、野球では甲子園出場こそないものの埼玉県内上位レベルにある。偏差値60代後半の進学校でありながら、プロ野球選手も生み出している埼玉県内の強豪・川越東高校野球部。今春、現役では初めて東京大学合格者も輩出した。「なんちゃって文武両道の学校はたくさんある」なかで、部活動と学業、どちらも妥協せずに取り組む「新しい文武両道」の姿とは?(中島大輔) ~


 スポーツライターの中島大輔氏は、上智大学在学中からライター、編集者として活動し始め、『野球崩壊』(新潮新書)、『中南米野球はなぜ強いのか』(亜紀書房)の著書をもつ気鋭の作家だ。
 埼玉県出身の中島氏は、県内の高校野球事情にも通じ、先日東大に合格した西山和希先輩をいちはやく取材して記事にされた。


 ~ 「なんちゃって文武両道の学校はたくさんある、東京六大学で野球をやろう」
 志望高校を検討中の中学生に対し、川越東高校野球部の野中祐之監督はそう声をかけている。この口説き文句の裏にあるのは、同部が目指す「新しい文武両道」の理想だ。
「これからは勉強だけとか野球だけではなく、勉強も野球も頑張っている学校が40校以上、甲子園に出てくる時代になるのではと思います。その最先端を走りたい気持ちがすごくあるんです」
 埼玉の公立高校で30年間指導し、3年前に私学の川越東に体育教諭として赴任した野中監督はそう語る。生徒たちが先を見据えて文武両道に取り組むことで、成長していく実感があるからだ。 ~


 みなさんの中にも、オープンキャンパスなどで野中先生のこの話を聞いた人はいるだろう。
 本校野球部は、みなさんも知っているように甲子園出場こそまだだが、常に大会では上位をうかがい、プロで活躍する高梨先輩(楽天ゴールデンイーグルス)もいる。
 西山君自身、スポーツクラスがあるような学校ではなく、全員が部活も勉強もやっているような学校に行こうと思い、単願での入学を決めたという。
 しかし、入ってみると、両立は思いのほか難しそうだった。
 「入学してすぐ、この学校だと自分は留年するなと思いました。隣の席の人は川高落ちで、その隣は浦高落ち。そういう人たちばかりの中、自分は単願で入ったので、勉強しないとまずいと思って始めました」と語る。
 入学直後の4月に行われた校内テストで、西山先輩は428人のうち312位。
 中学校時代は、勉強も野球もそれほど頑張らず、それでいてほどほどの結果は手にしてきた。
 しかし川東でこのまま過ごしていても、落ちこぼれてしまうと危機感を感じる。
 野球をやりながら、勉強もやる、一分もむだにしないで頑張ってみようと考えた。
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始業式

2020年04月07日 | 日々のあれこれ
 4月7日。午前午後で2年3年を分けての始業式。
 といっても式は行わずに、新クラスの発表、副教材販売、身分証明書用写真撮影、宿題の連絡などをあわただしく行う。
 もちろん部活はない。
 昨日の夕方、今日配ってもらうプリントを印刷したりして残っていたら、「明日いくらもっていけばいいんでしたけ?」「選択番号忘れました」的な電話が入った。「明日、本当に登校日にするのですか?」というご質問もあった。
 「密」をつくらないように万全を期して行いますとしか答えられないが、でも今日やれてよかった。
 緊急事態宣言が出てしまうと、さすがに集めにくい。
 昇降口で、「靴もって教室いけよ」「ちゃんとマスクして」「はい、おはよー」と出迎えててなぜか少しうるっときた。年か。
 もう3年とはいえ、男子高とはいえ、新クラスのメンバーは気にはなる。
 2階からもりあがる声がきこえてきて、つい「静かにHRを待ちましょう」と放送してしまった。
 次に顔を合わせるのは一ヶ月後になるのだろうか。
 今の子はラインとかですぐつながるとは言え、やはり同じ教室でバカ話をして、まったりしてはじめて、ゆるゆるとつながっていけるものだ。
 
  ~ 明日も会うのになぜか僕らは 眠い眼こすり 夜通しバカ話
    明くる日 案の定 机並べて居眠りして 怒られてるのに笑えてきて (野田洋次郎「正解」)~

 「正しい」高校生像。そんな居場所を早く用意したいけど、今は我慢するしかない。
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