水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

評論文読解の超基本(4)

2020年04月26日 | 国語のお勉強(評論)
石井洋二郎「芸術作品に客観的価値はあるのか」(埼玉県高校入試2017年)①~④段落


① たとえばここに一枚の絵があるとする。〈 その価値 〉はどうやって決まるのだろうか。いや、そもそも絵画作品について価値を決定することは可能なのだろうか。
② 〈 「価値」 〉ではなく〈 「価格」 〉であれば、いわゆる市場原理、すなわち需要と供給の関係によって決まると考えられる。〈 絵画作品 〉のオリジナルは一枚しか存在しないので、それに対する〈 社会的需要 〉が大きければ大きいほど値はつり上がる。たとえばかつて日本では、ゴッホの『ひまわり』が約五十八億円で購入されたという話があった。このほかにもピカソやムンクなど、その作品が百億円を超える価格で売買された例は少なくない。

Q1 =(イコール)の記号として働いている言葉を指摘しなさい。
A1 たとえば いわゆる すなわち ここ その それ この

Q2 ←→(対比)の記号として働いている言葉を指摘しなさい。
A2 ではなく

Q3「その価値」の「その」は何のことか。
A3 ここにある一枚の絵

Q4 筆者が問題にしていることは何か。
A4 絵画作品の価値

 ☆「~だろうか」という表現は、問題を提起する言い方。「~」について考えてみた、ということ。

Q5「価値」と対比の関係になる言葉は何か。
A5 価格

Q6「価格」は何で決まるのか。二つ抜き出せ。
A6 市場原理 需要と供給の関係

Q7「絵画作品」の価格は、何が大きくなると高くなるのか。5字で抜き出せ。
A7 社会的需要

Q8「社会的需要」が大きかった絵画の具体例を記せ。
A8 ゴッホの『ひまわり』
   ピカソやムンクの作品


① 問題提起
   絵画作品の価値……決められる?

②「価値」←→「価格」
    ……市場原理=需要と供給の関係で決まる
 ↓
  社会的需要……大きい → 高値
   (具)ゴッホ ピカソ ムンク


③ これら著名な画家の代表作であれば、常識を超えた価格で取引きされるのも当然という気がする。だが、ではその絵に本当に〈 それだけの「価値」 〉があるのかとあらためて問われると、言葉に詰まってしまう人が多いのではなかろうか。ある絵画が〈 百億円で取引きされたということ 〉と、その絵画に百億円の〈 価値 〉があるということは、〈 空欄Ⅰ 〉 。
④ 確かに同じひまわりを描いた絵でも、無名画家の作品だったら数万円程度で買えるのに、ゴッホの作品だと数十億円もする。しかしそれはけっして、ゴッホの絵が無名画家の絵より十万倍すぐれており、十万倍の感動を人に与えるということを意味しているわけではない。絵画がもたらす感動は定量化できるものではないのだから、数億に置き換えることなど不可能である。だからゴッホの作品自体に、描かれた時点ですでに数十億円に相当する客観的な価値が内在していたわけではないと考えるのが自然であろう。じっさい、生前のゴッホの絵が一枚しか売れなかったというのは有名な話であるし、その価格も現在の日本円でせいぜい数十万円といったところであった。


Q9「それだけの「価値」」とはどれほどの価値か。25字以内で説明せよ。
A9 常識では考えられないほどの価格で取引される価値。

Q10「百億円で取引きされたということ」と意味的に対比になる部分を15字以内で抜き出せ。
A10 百億円の価値があるということ

「価値」について
Q11「価値」ある作品とはどのような作品だと筆者は考えているか。「作品」につながるように8文字で抜き出して記せ。
A11 感動を人に与える(作品)

Q12「価値」と「価格」のちがいはどこにあると述べているか。本文の言葉を用いて簡潔に答えよ。
A12 定量化できるかどうか

Q13 空欄Ⅰにあてはまる内容として最も適切なものを選べ。
 ア 同義にはなりえないからだ   イ 同義にならざるをえないからだ
 ウ ほとんど同義であるからだ   エ 必ずしも同義ではないからだ
A13 エ

③著名な画家の代表作……常識を超えた価格で取引き
   ∥
 ある絵画……百億円で取引き
   ↑
   ↓
その絵画……百億円の価値

④無名画家の「ひまわり」……数万円程度
   ↑
   ↓
 ゴッホの「ひまわり」……数十億円
     ↓
 十万倍の感動を人に与えるわけ ではない
     ∥
 感動は定量化できるもの ではない
    ↓
 ゴッホの作品……客観的な価値が内在していたわけ ではない
コメント
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