水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

9月新年度

2020年04月28日 | 学年だよりなど
 9月新年度開始案が一躍脚光をあびている。
 たしかに本当に変えるべきなら、いまはチャンスだと思うけど、ほんとうに変えるべきなのだろうか。
 その第一の理由はグローバル基準だが、この先、ほんとうにみんな留学とか行けるのか?
 留学生受け入れできるのか? なかなか難しいのではないか。
 コロナ的に安全ぽい国との交流を考えるなら、たとえばニュージーランドの学校は1月開始だ。
 西欧しかみてない人は9月開始がスタンダードというが、その狭い見方をグローバルといっていいのか。
 こういう非常時だから、今までやれなかったことをやるべきという考えもあるが、逆に非常時ではないときに、ちゃんと考えてやるべきとも思える。
 記述式とか英語民間試験導入とか、平常時にさえたいした仕事できなかった方々に、短期間に大きな制度設計をまかせられるのかという不安もある。
 3月卒業4月入学をよしとする心、もしくはその季節感で築いてきた日本人の感性は、理屈では説明できないものの、そう簡単に手放したくないもののような気がする。
 9月開始にすればすべて解決できるかのように発言する方々のナイーブさも、どうかなあと思うし。

 本当だったら楽器を積み込み、衣装や小道具を積み込んで、みんなウエスタ川越に向かう日だった3月26日、南古谷ウニクスで「弥生、三月」を鑑賞した。お客さんは自分とアベック1組の計3人。
 波瑠さんが演ずる弥生と、成田陵くんが演じる山田太郎、通称さんたの、17歳から、たぶん30代後半くらいまでの人生を描く。

 最初のシーンは弥生17歳、高校2年の3月。
 免疫不全症候群を患う親友のさくらがクラスでいじめに遭っていたのを、必死で助ける弥生と、さんたとの出会い。
 そののち三人は仲良くなる。
 しかし一年後の3月、3人は一緒に卒業を迎えることができなった。
 さくらの遺影をもった両親が卒業証書をもらう卒業式が描かれた。
 父親の事業が失敗し、その借金返済のために不本意な相手と結婚させられそうになる、弥生24才の3月。
 夢が叶ってJリーグのチームに所属するものの、レギュラーにはなれずに戦力外通告を受けた、さんた28才(ぐらい?)の3月。

 「3月のある日」を定点観測地点にして、時系列が入れ替わりながら二人の人生を描いていく
 人生の一場面を切り取って表現するとき、どの地点を設定するか。
 この作品の成功はそれを3月に設定したことにあるが、誰が選んでも第一候補は3月ではないか。
 人生の節目節目であり、しかも新しい状況におかれる前の、不安を抱えながらも根拠のない希望を抱く季節。
 もちろん、2011年のように、多くの人が災難にあい、悲しみにうちひしがれた年もあった。
 弥生とさんたにも、それは襲う。
 その後も、いろんなすれ違いを繰り返し、人生が進んでいく。
 それぞれが結婚をし、伴侶を失ったり、仕事がうまくいかなくなったり。
 30数歳の弥生。亡くなったさくらが遺していったカセットテープを聞き、さんたの思いに気づく。
 「弥生、三月」というタイトルは、三月をさんたと読み替え、弥生とさんたの間に桜の花びら「、」が入っていたことに気づく。
 やっと二人で手をつなげる日が訪れた2019年。
 すれ違いを繰り返してきた二人だからこそ、時間の大切さも、お互いの大切さも身にしみてわかるようになっている。
 高3のさんたが、「40になっても独身だったら結婚してやるよ」と叫んだ言葉が、やっと本当になることを予感させて、物語は終わる。
 高校生のときに見ていたら、「よかったね」で終わったかもしれないが、今は「人生、まだまだ長いよ」とに二人エールを送りたかった。
 まだまだ、これから。だから3月も4月も大事にすごさねば。
コメント
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