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T206 ③ Oldring Phila A ヴィンテージカード

たばこのおまけとして製作された「ホナス・ワグナー」のT206カードが1億円を超える値段がついた理由はいくつかある。そもそもあるものの値段は、需要と供給で決まるのだが、このカードの値段も、両方の要素がある。まず、供給側の要因としては、このカードの残存している枚数が極端に少ないことがあげられる。このカードは、たばこのおまけだったのだが、ホナス・ワグナー選手は、たばこ禁止主義者であったらしく、自分の肖像が、たばこの宣伝に使われることを認めなかった。それで、たばこメーカーは、急遽製造を中止し、おまけにすることを断念したのであるが、おそらく回収し損ねたものがわずかだが流通してしまったらしい。こうした事情から、現存する彼のカードは、他の選手のカードに比べて極端に少なく、現存枚数は50枚前後と言われている。これが供給側の理由である。これに対して、需要の方はと言うと、既に述べたように、この野球カードは世界最古ということもあり、このカードを集めているコレクターがかなり広範に存在する。それらのコレクターの究極の目標は、何と言っても514全選手のカードを集めることだろう。そうなると、このホナス・ワグナーのカードは最後にどうしても手に入れたいカードということになる。しかも、ホナス・ワグナー選手は514人選手の中でも、タイ・カップ、サイ・ヤングと並ぶ殿堂入りを果たしているスーパースター選手である。これが揃わなければ、T206コレクターとして集めていますと胸を張って言えないだろう。即ち、お金に糸目をつけず、何が何でもほしいというコレクターが50人以上いるにもかかわらず、50枚しか存在しないのだから、このカードの値段は天井知らずでつりあがっていくことになる。1億円以上の値段がついた背景には、こうした需給の要因があったと言われている。(続く)
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T206 ② Ferguson Boston N ヴィンテージカード

T206は、世界で最も古い「野球カード」ということで、アメリカを中心に非常に熱心なコレクターが存在する。実は、史上最も高価な「野球カード」というのは、このT206シリーズの中のカードなのである。10年くらい前の話だが、元はといえばタダ(タバコのおまけ)だったカード1枚が、オークションで100万ドル以上、即ち1億円以上で取引された。野球カードについた値段としては最高記録であった。そのカードは、T206カード514種類のの中の1つで、描かれた選手は「ホナス・ワグナー」。ホナス・ワグナーは、タイ・カップなどと並ぶ、当時のスター選手であり、伝説的な名選手である。但し、ホナス・ワグナー選手のT206カードがそれほどまでに高額で取引された理由は、描かれた選手が有名選手だったからだけではない。そこには偶然とも言える要因がいくつも重なって、1億円というとんでもない値段になってしまったといういきさつがあるのである。そのいきさつは、次に述べる。
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首無のごとき祟るもの 川津田信三

最初にかなり複雑な「書き手」と「語り手」の関係が説明されていて、何かそのあたりにこのミステリーの複線がはりめぐされているのだろうと予感して読み始めた。結局、その予感は当たったには当たったのだが、終盤の50ページのどんでん返しに次ぐどんでん返しには、正直驚かされた。また、読んでいると、土着の信仰が残っている山奥の話というにはあまりにも不自然な土地柄やしきたりの設定、突然説明口調になる登場人物の不自然さ等が気になってくるのだが、その不自然さに作者の苦労があることが最後に判ると、そうした不自然さも、トリックを見破るための「読者に与えられた情報」だということで、「まあ仕方ないか」という気にさせてくれる。練りに練った作品であることは間違いないが、描かれた警察のあまりの無能さなどを考えると、ミステリーの不自然なところを大胆に指摘する「ミステリーを切る」のキムラ弁護士の突っ込みどころ満載という気がしないでもない。(「首無のごとき祟るもの」川津田信三、原書房)
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