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エヴァンジェリン・リリー LOST ケイト
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私の男 桜庭一樹
読み終えたその日に、本書が直木賞を受賞した。前に読んだ「赤朽葉家の伝説」が大変面白かったのと、いろいろなところで評判が良いので、読んでみたのだが、どうも前作と同じ作者の作品とは思えない感じだった。その前に読んだ「少女には向かない職業」と「赤朽葉家の伝説」も同じ作者とは思えない感じだったので、読む度に大きく変わっている作家ということだろう。直木賞の受賞理由には、どのように変貌するかという将来の楽しみも入っているに違いない。本書の内容は、主人公の異常な感情の理由が、語り手が章ごとに変わり、しかも時間を遡る倒叙形式で語られるなかで、次第にあきらかになっていくという話である。「赤朽葉家」のようなあそびの要素がないシリアスで、現代的な怖い話である。個人的には「赤朽葉家」の方が好きだが、次に何がでてくるかという楽しみは、本書によってますます強くなった。(「私の男」桜庭一樹、文藝春秋社)
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