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雪沼とその周辺 堀江敏幸
雪沼という架空の町の住人たちの静かな生活の起伏をえがいた川端賞・谷崎賞ダブル受賞の連作短編集。それぞれの短編の主人公は、いずれも同じ地区に住む人々で、ちょっとした関係があったりなかったりというゆるい関係が想定されている。また、それぞれの物語は、それほど大きな起伏ではないが、主人公にとっては小さな事件とはいえない起伏がえがかれている。主人公の過去を知って初めてその起伏の大きさと深みが判るような起伏だ。全てが緩やかで静かで、その感動も緩やかで静かなものだが、非常に大切な感動のような気がする。題名の「雪沼とその周辺」という「その周辺」という表現そのものが曖昧だが、その曖昧さも全てが計算しくされたものなのだろう。アクロバティックな技巧的ミステリーや、想像力を掻き立てるような自由奔放なファンタジーにはない読書の別の醍醐味がある。5冊に1冊くらいは、このようにほっとする静かな作品もいいなぁと思える作品だった。(「雪沼とその周辺」堀江敏幸、新潮文庫)
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