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血族 山口瞳
桜庭一樹の書評は非常にためになる。その桜庭が、ほぼ絶賛に近いコメントをつけて文庫本オールタイムベスト10に選んだ本ということで、読んでみた。前半部分はは、自分の母親を中心とする血縁者の思い出、子供の頃に感じたちょっとした疑問、家にたむろする様々な人々のことなどが延々と続く。そうした事実をもとに、後半部分でいよいよ自分の家族を取り巻く謎に迫っていく様子は、抑制が効いた文章とは逆にドラマチックこの上ない。宣伝文句をつけるとすれば、「ミステリーじゃないけどミステリー、小説じゃないけど小説」といった感じだろう。前半部分の子供時代の記憶にまつわるいろいろな霧が、次第に晴れていく様が感動的だ。桜庭は本書を萩尾望都の名作「ポーの一族」になぞらえているが、全てが事実である本書の方が当然ながら重い。(「血族」山口瞳、文春文庫)
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