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美少年探偵団 西尾維新

ここ数年の傾向だが、ライトノベルが普通の文庫で読めるようになってきている。本書も、普通の文庫に収められたライトノベルのカリスマ的存在である作者の小説だ。すでに作者については「掟上今日子」シリーズ等でライトノベル界を全く知らない私でも知るところとなったが、そうした流れを汲んで創設された講談社タイガ文庫の第一弾として刊行された1冊ということで、ますます作者の名前は広く知れ渡ることになうだろう。ライトノベルから一般小説への流れといっても、作風が大きく変わるということはない。その流れの背景には、2つの世界の境界があいまいになってきているという事情があり、言葉を変えれば、表紙の図案がそれらしいかどうかという違いしか残らないし、表紙を変えてしまえば、それだけでライトノベルは一般小説への変身してしまうといっても良いだろう。本書も、講談社タイガ文庫のコンセプト通り、表紙も内容も正真正銘のライトノベルだ。荒唐無稽かと問われれば荒唐無稽だが、面白いかと問われれば面白い。ライトノベルの世界では「荒唐無稽」とか「美辞麗句の羅列」とか「ご都合主義」いう評価が悪口にならないことを再確認させられる1冊だ。(「美少年探偵団」 西尾維新、講談社文庫)

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