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レジまでの推理 似鳥鶏

本屋さんの従業員が、本や本屋さんの仕事に関する知識を生かして、本にまつわる小さな謎を解いていくという、絵にかいたような典型的なお仕事ミステリー。本屋さんに対する愛情が感じられるのは大変微笑ましいのだが、個人的には全般的に少し甘すぎるというか、危機感が足りないような気がする。久しい出版不況のなかで本屋さんが悪戦苦闘していることへの敬意を前面に出しすぎていて、何だか傷をなめあっているような気がするのだ。本に関わる人たちの中で、最も苦労しているのが本屋さんであることは間違いないとして、出版社の努力は今のままで良いのか、本を執筆する著者、作家たちの努力は足りているのか、そういったところまで踏み込んでこそ、本屋さんの助けになるのではないか。本書を読んでいると、作家の努力は、良い本を書く、時々サイン会を開催して営業協力する、それだけで良いのかどうか改めて問いたい気がしてきた。(「レジまでの推理」 似鳥鶏、光文社)

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