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羊と銅の森 宮下奈都

ピアノの調律を一生の仕事にと熱意を燃やす若い主人公の成長の物語。簡単に言えば、いわゆる「お仕事小説」なのだが、その仕事に関する薀蓄の紹介を主眼とする多くの「お仕事小説」とは全く違う濃密な一冊だ。読んでいて、こうした地味な仕事にこんなにも奥深い色鮮やかな世界があるということに驚かされる一方、その世界の普遍性とか芸術の世界がどの様に成り立っているのか、という所まで考えさせられてしまった。「スコーレNo.4」を読んだ時以来の作者のファンだが、ますます今後が楽しみだ。(「羊と銅の森」 宮下奈都、文芸春秋社)

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