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ミャンマー政変 北川成史

現役新聞記者によるミャンマー情勢の解説本。21年のクーデター、戦後のミャンマー史、クーデターに対する各国のスタンスなどをとても分かりやすく教えてくれる。例えば、何故クーデターが2012年2月1日だったのかという解説はそうだったのかと目から鱗だった。こうした基礎知識的な解説が本書の中心だが、個人的にはそれ以上に、著者のタイ駐在時代に取材したミャンマーの少数民族居住地のレポート、民主化後も含めたミャンマーの言論統制の実態解説がとてもためになった。ミャンマー東部の中国に隣接する「ワ自治管区」やタイとの関係の深い「シャン州」の現地取材の内容はミャンマーの混乱収拾の難しさを理解する上でとても重要な示唆を与えてくれる。また、民主化政権の施策やスーチー女史の言動に関する分析などから伺い見えるミャンマーの言論統制意識は、ミャンマーの置かれた情勢からやむを得ない面はあるものの、現地取材ならではの視点が光る内容だと感じた。(「ミャンマー政変」 北川成史、ちくま新書)
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