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まな板の上のマグロ 下関マグロ

個人情報保護の大切さが喧伝される昨今、あえて自分の顔写真、住所、電話番号等を雑誌やネットに晒し、その反応をレポートするというかなり際どい内容の一冊。情報を公開した後の反応はイタズラ電話が中心で、無言電話、一言だけ罵倒して切れるもの等様々。著者はそうした行動をもう何十年も続けていて、更に自分の金融機関別の借金金額、病気の診断書なども公開するというエスカレート振りを見せたあと、現在はそうしたことから足を洗ったとのこと。客観的に言って非常に危険な行為のオンパレードだが、著者自身はさほど気にせず冷静かつ楽観的に文章にしてそれを生業にしてきたらしい。これまで大きなトラブルもなく済んでいるのは、著者がライターであることが知られているからなのか、それとも著者が本能的にそうしたリスクの回避に長けているのか、その辺は何とも言えない。こうした文章の公開が、個人情報漏洩のリスクを麻痺させてしまうマイナスが大きい気もする一方、軽い気持ちで行われるイタズラ電話などの減少に役立つプラス面も多少はあるかも知れないと思った。(「まな板の上のマグロ」 下関マグロ、幻冬舎文庫)
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