西域から来た皇女
(小林惠子・祥伝社)
まずこの本は「本当は恐ろしい万葉集」のシリーズ2です。
万葉集の歌を朝鮮語で裏読みして、歌に隠された政治的意図を
読み取ろうという試みです。
登場人物紹介
天智天皇・・・・大化の改新の立役者。
天武天皇・・・・天智天皇の弟。壬申の乱で天皇に。
大津皇子・・・・天武天皇と太田皇女(天智の娘)の息子。
草壁皇子・・・・天武天皇と鵜野皇女(太田の同母妹)の息子。
高市皇子・・・・天武天皇の長男。長屋王の父。
山辺皇女・・・・大津の妃・天智の娘。
大津皇子は鵜野皇女(持統天皇)によって、謀反の疑いをかけられ
殺されました。それは持統天皇の息子、草壁皇子を天皇にする為の
謀略でした。
が・・・・しかし
天智・天武天皇は百済系の王族。文武天皇(持統天皇の孫)は実は
新羅系の王族。高市皇子は天智と済州島の高氏との子・・・・
ついでにいうなら、
大津の妃である山辺皇女はササン朝ペルシャの
亡命王族の娘という事なんだそうです
要するに、古代における天皇家は「新羅系」「百済系」朝鮮族出身で
日本は唐の属国であった・・・というお話なんですね。
「唐」が認めないと天皇は即位出来ないわけで・・・・
そこで「新羅」「百済」「高句麗」と3つの国の血を引く人たちが
暗躍するわけです
万葉集を朝鮮語で読み解くというのは、今では一般的なやり方です。
確か、最初にそれを本にしたのは「人麻呂の暗号」(藤村由加・新潮社)
だと思います。
古代の日本では、渡来人が多く行き来していたわけですね。
大和言葉で作られたように見える「歌」をこっそり朝鮮語で裏読みさせて
わかる人にはわかる「暗号」にしている・・というわけです。
でも・・・もし、この「天皇家」及び、それにまつわる人たちが全員
外国人(朝鮮人)で、
日本は唐に「即位」の承認をえなければならなかった・・・という
事になると、今までの歴史が全部嘘になってしまいます。
(万世一系なんかそもそもないというお話ですよね)
この本によれば聖徳太子も朝鮮人だし、額田王も新羅系王族で
(ゆえに王がつくらしい)
日本は長い間、外国人による支配が続いていたということになりますね。
物語としては面白いけど・・・にわかには信じがたいっていうか・・・
色々その証拠も書かれているんですけど、それでも私の中のDNAは
「信じたくない」って発信するので、読んでいて辛かったかなーーー
(これは偏見でも何でもなく、
大和は独立した国であって欲しいという願いです)
大津皇子は山辺皇女と恋仲だったのに、天武天皇が彼女を妃に
してしまった。それゆえに大津は「天智系」の皇子で父親と確執を
抱えていた。山辺が天武の妃になったのはペルシャの姫だったから。
天武は殺され、大津は一時期政権を取るものの、
すぐに高市皇子達によって殺されてしまう。
山辺はその後を追って入水自殺した。
かなり壮大なお話だし、
前作「本当は恐ろしい万葉集」を合わせて読むと
納得できることが多数あるかもしれません。