「さよなら和央ようか1」も合わせてどうぞ。
私が最初に和央ようかを見たのは1996年。
雪組公演「エリザベート」でのルドルフ役でした。
雪組から組替えになって花へ言った香寿たつきの役代わりとして
ルドルフを演じていたのでした。
長身の和央が比較的小柄な一路を相手に銀橋で「闇が広がる」を
歌うのはちょっと大変だったのかとも思いますが、
当時、まだ宝塚初心者だった私は、和央のビジュアル的な美しさに
すっかり引き込まれてしまったのを覚えています
(私にとって一番のルドルフは絵麻緒ゆうですけど、その次くらいかな)
その後、過去のビデオなどで和央を見る機会がありましたけど
やっぱりひときわ背が高い、繊細そうなイメージはそのまま。
特に「バロック千一夜」の折の「金の像」シーンは本当にかっこよかったです。
そもそもああいう黒塗りの似合う男役でもあったわけですね。
だけど、「エリザベート」以後の和央に関しては、あまりいい評価を
したことはありませんでした・・・・
「虹のナターシャ」はあまりにくだらなくて見に行かなかったので
ほとんど印象に残らず・・・
「仮面のロマネスク」ジェルクールは、衣装もかつらも似合わないし
本当は粋に聞こえるはずの台詞も軽薄そのもので、最低でした。
その後、「晴れた日に永遠が見える」の画家も・・・なんていうか・・・
軽薄に見えました
何が軽薄に見えるって・・凹凸のない台詞回し、滑舌の悪さ、そして
コスチューム物に必要な立ち居振る舞いがきちんとできない点
だったでしょうか?
この時点で私の和央ようか評はがたっと落ちてしまい、
「この人が2番手やるの?大丈夫?」状態・・・・
それでも和央はあっさり出世して、1998年、宙組発足と同時に
2番手になります
1996年までは5番手。香寿が抜けたあとは4番手、
高嶺ふぶきが2作で退団した1997年にはすぐに雪の2番手になって
いますので・・・本当にトントン拍子で出世したことになります
宙組というのは、最初の最初から印象は「冷たい組」というのが
私の中でインプットされていました
舞台を見終わった後の余韻が一切なかったんですね。
トップの姿月あさと、娘役トップの花總まり、和央ようか、湖月わたる・・と
とにかく長身ぞろいで華やかそのものだったにも関わらず、
舞台に流れる空気は氷のようで
いつも舞台を見終わった後は「寒いなあ」と思って家路につく始末。
その原因の一つには、各組からの寄せ集めの組子達の
息が中々あわなかったことと、姿月&花總の相性の悪さ・・
そして、姿月・和央らの演技に情がなかったことではないかと思います。
宝塚というのは、技術的に上手なだけでは駄目な劇団なんですね。
下手でもそこに「情」があれば観客は喜ぶし、応援もするわけです。
その「情」というのは一口に言えばファンに対しての感謝の気持ちとか
愛情といったものだと思うんですが
宙組は元々そういう感情に欠けた組だと思います。
姿月あさとお披露目公演の「エクスカリバー」で和央は
クリストファーという悪役を演じたのですが、これがまた・・何とも
いえないほど中途半端なつくりで。
一本何か紐を閉め忘れているような演技だったんですね。
ショー「シトラスの風」の「ノスタルジア」のシーンも、
宝塚のショーでは定番の「3角関係」をモチーフにしたいいシーン
だったのですが、横で踊っている湖月の方が立派に見える程
和央が頼りなく見えました
次の「エリザベート」ではフランツ・ヨーゼフを演じたのですが、
これまたあの豪華な衣装に着られている印象で・・・
本来の「マザコン皇帝」というイメージには近かったけど、とにかく
一国の主という威厳が少しもなかったんです
(某本に1幕最後の和央の姿に対して「ねんねこ姿」と書いてある
のがあり・・爆笑した経験が。言いえて妙とはこのことでした)
この頃の和央は評論でも「男役欠乏症」と書かれており、
何だかやる気のない一面を見せられていたような気がします
私も、宙組の持つ空気の冷たさに嫌気がさして、
「激情」は見に行かなかったのですが・・・・
そんな私の「和央ようか」評を覆すような出来事が起こったのでした。