実は私・・・中学時代から田村正和さんのファンで・・・・
(近藤正臣さんも大好きでした。高校生になってからは
金田賢一大ファンに)
何がきっかけだったかというと、NHKでやってた「鳴門秘貼」というドラマでした
残念ながらNHKにビデオは残っていないみたいなんですけど、当時の正和様は
紫色の着物に紫のアイシャドウして、とにかくニヒルでかっこいいのなんのって。
あまりのかっこよさに乙女の心はすっかり奪われたのでした
なんていうか・・・宝塚をそのまんま男性で再現したような
様式美と容姿のすばらしさがありました。
彼独特の語り口はもう幻想の世界とでもいいましょうか
その後、民放で「若様侍捕り物帳」なんかを見て「きゃーーっ」とか
言ってましたが、極めつけは何といっても「乾いて候」でしょう
この作品・・・今、ケーブルテレビで再放送しているのですが、あらためて
田村正和という人が持っている「様式美」を確認できます
中学生の我が家の姫ですら「この人、めちゃかっこいいね」と言った
くらい。
何が最高って
立ち姿・・・着流しで立つ時に前足をちょっとだけ出して立つのですが
これが素晴らしくかっこいい。歩くときの歩の進め方がまた
さらに・・・
殺陣・・・田村さんの立ちまわりは芸術的で、彼の踊るような立ち回りを
見た後では誰のものもやぼったく見えます。匹敵するとしたら
里見浩太郎くらいですか マツケンはちょっと・・・・
最近では山本耕史君が近いような気がします
キザなセリフ・・・・普通の人が言うと赤面しそうな台詞が堂々と
言えてしまうすごさっていうんでしょうか
共演の女優さんはみんな「萌えーー」ですね。
忠臣蔵 音無しの剣
綱吉の時代、不法に逮捕されそうな人を逃がす「逃がし屋御前」
という人がいた。名前は結城慶之介。元は松平直矩のご落胤。
結城は5年前にしほという道場主の娘と結婚しようとしていたが
しほが突然行方不明になる。
5年後、堀部安兵衛と再会。これをきっかけに赤穂浪士と関わって
いく。
しほが嫁いだ成田屋は実は赤穂浪士の為に武器をそろえた。
そのせいで上杉家から追手がかかり、結城はこの二人を逃がす。
早い話「カサブランカ 忠臣蔵編」的なお話です
よく、こんな話を作るなーーと脚本家さんを尊敬します。私なんかそういう
発想すら出来ない凡人ですから
こういうストーリーなら「忠臣蔵飽きたっ」の私でも楽しめるって言うか。
「カサブランカ」と重ねるなんて・・・本当にすごい発想だ・・・・
この場合、ボギーが田村さんで、イングリット・バーグマンが
和久井映見で、その彼氏が中村雅俊です
ドラマとしては本当に素晴らしかったし、船宿の女将さんの梶芽衣子
さんの迫力には脱帽しましたし、何げに「今泉君」の西村雅彦が
上杉家の当主をやってるというのも微笑ましかったです
田村さんは相変わらず軽々とした太刀さばきで、そのかっこよさは
芸術の域 今時こんなキザなポーズが似合う人はいませんっ
その昔は、滅多に笑わず泣かない男でしたが、一時期病気をして
その後「乾いて候」をやった時、ものすごく感情過多になってました。
その心境の変化なのか、しほを追って道場を探しまくる狼狽ぶりや
実の父親の手を取って「父上」と泣く姿は、多分きわめて稀な演技
なんじゃないかと思います
何もかも「田村正和」ありき・・のドラマであった事は確かなんですが。
ただ・・・ヒロインが和久井映見という事を考えると、いくらなんでも
田村さんの年齢じゃ釣り合わないのでは?と思いました。
むろん、それは中村雅俊も同じで、堀部安兵衛が原田龍二なわけですし
この場合、もっと若い人じゃないと
多分、主役の田村さんに合わせたんでしょうけど、そもそも田村さんは
何歳の設定なのか
実の父親を演じた宇津井健さんが70代として、その息子が・・せいぜい
40代だよなーーと・・・
でも実際の田村さんは還暦過ぎて孫までいる年齢なわけで。
化粧でしわ一つ目立たないようにしていたし、立ちまわりも決して
20年前に比べてそん色はないんですね。
でもやっぱり・・・「年齢」を感じてしまうというか。
紫色の着物よりも、もっと渋めの方が似合うよなーーとか、自分が
恋愛するより、息子とか孫の恋愛を見守る立場なんじゃないの?とか・・
(「大岡越前」で言えば忠相の父を演じた千恵蔵さんのような立場)
今時、年齢より若く見える事は素晴らしいことですが、やっぱり歳相応の
役をやってくれた方がファンとしては安心出来るんですね。
「田村正和たるもの常に若い役」っていうのはわかる気もするのですが
どんなに頑張っても実際に40代の頃の美貌を取り戻せるとは
思わないです (リアルに「乾いて候」を見ちゃってるもんで・・・・)
っていうか、こういう大物俳優さんが年齢と共に「わびさび」を出して
くれることこそ素晴らしい事なんじゃないかなと。
正直、この作品は20年前の田村正和で見たかったです
当時と変わらない体の線には驚きましたが、声がかすれていて
しかもあの痩せっぷりでしょう?どこか悪いんじゃないかと思って
心配しちゃうんですよね
台詞がぎりぎりに削られていたような気がしますが、長々と話せない
のかなーーとか・・・
一方の中村雅俊も往年の「隣のお兄ちゃん」とはやっぱり違っていて
もう恋愛をやるような歳じゃないよなーーっと
ヒロイン、和久井映見&歳相応の色気と迫力の梶芽衣子さんが
やたら素晴らしかっただけに・・・・
まあ、時折見せる田村さんの温かい視線。これは20年前には
絶対に見る事ができなかったもので、僭越ながら成長したんだなと
思いますけど。
ニヒルでかっこいい時代劇役者がほぼいない昨今、跡継ぎが欲しいと
思う今日この頃です