このところ、全然雪組さんにご縁がなく、気づけば誰が誰やらになっているんですよね。
ボイルド・ドイル・オンザ・・トイル・トレイル
誰よ。こんなわかりにく変な長ったらしいタイトルつけた人。
あ、生田大和だった・・・・
全体的にはよく出来た作品じゃないかなと思います。
無論、コナン・ドイルの小説やある程度の人生を知った上で見るなら。
今時「コナン」って言ったら名探偵コナンだしねえ。
コナン・ドイルが書いた小説というのは、いわゆる「推理小説」の草分けのようなもので、ドイル以前には存在しないものだったわけです。
恐怖小説とは違って、緻密で論理的でちょっと怖さも含んだ小説ですね。
舞台の通り、ホームズが実在すると思ってた人も多かったし。
そりゃベーカー街のなんちゃらまで出てきたらそう思うよね。
オタクなファンを掴んだのも、きっと最初じゃないかなと。
何でも出来るホームズだけど、実はアヘン中毒だったというのはなしにされてる。ドラマでもなしにされてましたよね。
ドイル的にはもっと違う小説を書きたいと思ったけど、たまたま当たったホームズをずっと書かなければならない作家の宿命に陥ったわけですね。
それって、例えばモンゴメリの「赤毛のアン」もそうで、本人はとうに飽きているのに結果的にアンシリーズを続けないといけなかった。
医者で冒険家で夢見がちなドイルは彩風咲奈によく似合ってましたし、ぶっとんだ奥さんも夢白あやに合ってたと思う。
見目麗しい朝美絢のホームズ、和希そらの編集者。どれもこれもぴったりなんだけど、何となく大笑いに持っていけなかった理由は何だろうなあと。
これ、星組ならアドリブ利かせて、細かな演技で視線をあっちこっちに向けると思うんだけど、成績優秀、品行方正な雪組ではコメディの限界があったかもしれませんよね。
また、ストーリーはよかったんだけど、それに対する楽曲が全然印象に残らず。
これって何?1曲くらい名曲が出てもよさそうなのになと思いました。
細かく言えば、ドイルの奥さんって何であんなにぶっとんでいるキャラにしたのかな。歌も下手だし、一人で浮きまくっていた印象があるんだけど。
ドイルの家族関係の薄さ、せっかく描いたのに無駄になったなと。
父の死なんかどうでもよくて、妻の病気だもんね。
作家になって成功すれば、家族を取り戻す事が出来ると思っていたのに、それが出来なかった。遅すぎたというか、それぞれ別の道があって、妹二人のみが一緒になった。
でもこの妹二人が登場している意味がわからない。
なぜ父の死を伝えない?母をどう思って、兄はどう思っての部分がまるでない。
とにかく、歌とダンスで韻を踏んで難しい話を面白くしようという意図はわかるのですが、もう少し深みがあってもよかったんじゃないか?と。
フローズン・ホリディ
タイトル間違ってないか?と最初に思ったんです。
何だかクリスマス一色が長くて。「クリスマスホリデイ」とかにすべきだったんじゃなかったかと。
突如出て来る日本のお正月みたいなシーンも、それはそれなりに面白いけど浮くよね。
私はスノウフラワーちゃんたちの白黒衣装が拒否反応で。
あとで、その衣装の意味はわかったのですが、それでも好きになれないなと。
で、野口幸作なんですけど。オープニングからどこかで見たシーン。
船がクリスマスになっただけじゃ?イルカがトナカイに?
古い言葉でいうと歌詞が「ボキャ貧」っていうか、まーたこの歌詞。
「好きだから」とか「見せてやるぜ」的なね、そういうのの羅列にちょっとうーんって思いつつ。
自分の作品をリスペクトするのは早いでしょうと私は思います。
ボキャブラリーが貧困なのは作家として大変な欠点ですから、同じ愛という言葉を表現するにしても、もっともっと言葉を選ばないとダメですよ。
それに「フローズン」と聞けば「氷」でしょうが。
決してクリスマスやお正月ではないと思うんですよ。
サンタとか神父とかロックとか正月とか、そういう組み分けするんじゃなくて、氷の王と女王とか、吹雪とか雪とか、そういう感じで分けた方がよかったんじゃないですかね。
衣装は全体的赤と緑で最後までクリスマスカラーだったし。
でも、雪組100年の所は本当に感動しました。
そういういい所もあるんだしね。
和希そらがいない雪組をどうすればいいのかしら?って思いませんか?
本当に短い間だったけど、彼女の安定した語り口、歌、ダンスは何者にも代えがたい。今の雪組の中では。
これくらい、出来る人が数人いないと雪組さん、頼りなくなるよね。
トップコンビが何だか声に不安定さを抱えて、朝美絢は独特の個性を発揮し、回りは何とか目立ちたいけどそうはならず。
これで「ベルサイユのばら」を出来るのかと。
あれこそ大芝居、その気になって没頭しないと出来ない芝居ですからね。
そういえば、汀夏子の「ベルばら」も花組に比べるとイマイチだったなあ・・と古い事を言い出したりして。