「鳥正」(その1)
30年以上、それ以上の長い年月、長野県へと林檎の買い出しに通った。
あまり、家族で出かける時間も取れない我が家には待ち遠しい年間行事の一つでも有った。
長い年月を通っているうちには、随分道路の事情も変わった。
未舗装で曲がりくねった道路は最初の頃は未舗装で、千曲川の脇など随分怖い思いで走ったものだった。
目的の家に着き、林檎の買い付けを終えると、名残を惜しみつつも、お茶もそこそこに辞し、
途中のドライブインで昼食を取るのがこれも定例の喜び。
国道117号線の飯山市から少し南方の、市街を外れた脇に有るそのドライブインは鳥料理の専門店で、
通い始めた昭和50年頃にはメニューにこそ無かったが持ち帰りの土産に「スズメ」さえ有り、驚かされたものだ。
国道沿いのドライブインで、長距離のドライバーの客筋が多いのか、
とにかくボリュームたっぷりのメニューにも驚いたものだった。
鳥専門店と言う事で、全てのメニューは鶏肉専門。カツ丼、カツカレー、
もつ焼き定食どんなメニューも主役は鶏肉なのだ。
しかし、国道もバイパスの完成とともに移転し店の様子も大きくなり駐車場も随分広い場所になり様子が変わった。
(続く)